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古典の季節表現 冬 十二月

2013年12月30日 | 日本古典文学-冬

月日やうやうすぎ暮て極月(しはす)にうつり行こそ人の名残も世のいそがはしきもおもひしらるれ
すさまじき物は十二月(しはす)の月夜といひけん
くもりなくさし出たる空のけしきさすがに見る人もなし
月のすゑにいたりぬれば心ぼそく成行まゝ
又くる春のいそぎにとりかさねて
家々うちはらふすゝほこりの立まよふていろめも見えぬに
町々は行人かへる人これかれめせといふて
門の松ゆづ り葉かざりのしめほなりのしたこゑごゑによはゝるもいとたうとし
かがみもちいつくとてとよめきにきはふもまたをかし
年月暮て節季候とおとりはねて物をこふところもあり
ことのいそがはしきにとりくはへてうたてしくもおかしかりけり
大つごもりの夜いたうくらきにたいまつがひともしなど手ごとにもちて
夜半すぐるまで人の門たゝきはしりありきてあしをそらになし
つもりかさなるあきなひ物のかけをきのりそのかはりをこふにことごとしくのゝしりていさかひあらそひてとよみになるもうとまし
あかつきがたよりはさすがに家々もしづまりつゝ物音もなく成ぬるこそ
年の名残はいま一時よとおもふにもいとど心ぼそからぬかは
明行空のけしききのふのいそがはしきに引かへて一きはめづ らしき心ちぞする
世のけはひも花やかにうれしげなる又あはれなり
いひかはす言葉もめでたき春のよろづ世をいはふ若水に屠蘇(とそ)白(びやく)散(さん)をちりうかして年の千とせをいはふとかや
(佛教大学図書館デジタルコレクション「十二月あそひ」より)


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