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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 冬 十月一日 立冬

2013年10月01日 | 日本古典文学-冬

貞和二年百首歌奉りし時 前中納言経顕
さためなくしくるゝ雲の晴まより日影さひしき冬はきにけり
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

かみなつきときをたかへすあまつひのかけものさむきふゆをつくなり
(沙玉集~日文研HPより)

神無月をりにしたかふならひとてよものあらしもさえてふくなり
(建長八年九月十三日・百首歌合~日文研HPより)

題しらす 鎌倉右大臣
秋はいぬ風に木葉は散はてゝ山さひしかる冬はきにけり
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

神無月のついたちごろ、宇治にて逍遥し侍りけるに、八の宮の住み侍りける所の、梢ごとにおもしろう、遠目さへすごげなるに 匂ふ兵部卿のみこ
秋果てて寂しさまさる木のもとを吹きなすぐしそ峰の松風
右衛門督
いづくより秋は行きけん山里の紅葉の陰は過ぎ憂きものを
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

けさはまたくもりもあへすかみなつきもみちとともにふるしくれかな
(文保百首~日文研HPより)

時雨知冬といへる心をよませ給うける 法皇御製
時雨行空にもしるし神無月くもりもあへす冬やきぬらん
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

道助法親王家五十首歌に、朝時雨 藤原信実朝臣
冬きぬといふはかりにや神無月けさは時雨のふりまさりつゝ
(続後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

神無月のついたちに
たぐひなく憂き別れ路の袖の上にいとど降り添ふ初時雨かな
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

神な月のついたちに、女につかはしける 東三条入道摂政太政大臣
なけきつゝかへす衣の露けきにいとゝ空さへ時雨そふらん
(新勅撰和歌集~国文学研究資料館HPより)


古典の季節表現 十月一日 冬の更衣

2013年10月01日 | 日本古典文学-冬

衣更えの御しつらひ、くもりなくあざやかに見えて、よき若人童女の、形、姿めやすくととのへて、「少納言がもてなし、心もとなきところなう、心にくし」と見たまふ。
(源氏物語・葵~バージニア大学HPより)

十月更衣 為邦朝臣
立かへて露も残らぬ衣手を今朝はたぬらす初時雨かな
 右冬の更衣はめづらしき題にて侍を。やすやすと今朝はたぬらす時雨など心も詞も幽玄に侍るよし。人々一同に定申き。
(年中行事歌合~群書類従)

十月一日
交はしてし衣(ころも)はかへじ結びてし露けげなりと人は見るとも
(和泉式部続集~岩波文庫)