monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

卯の花

2010年04月15日 | 日本古典文学-和歌-夏

ときわかず降れる雪かと見るまでに垣根もたわに咲ける卯の花(後撰和歌集)

時しらぬ里は玉川いつとてか夏のかきねをうづ む白雪(風雅和歌集)

夕ぐれの月待つほどは卯の花の垣ねにしばし雪を見るかな(永享百首)

白浪の音せで立つと見えつるは卯の花さける垣ねなりけり(後拾遺和歌集)

うつぎ原てこなが布をさらせると見えしは花の咲けるなりけり(好忠集)

山がつの垣根に咲ける卯の花は誰(た)がしろたへの衣(ころも)かけしぞ(拾遺和歌集)

いづ れをかわきて折らまし山ざとの垣ねつづ きに咲ける卯の花(金葉和歌集)

むらむらに咲ける垣ねの卯の花は木の間の月のここちこそすれ(千載和歌集)

天つそらひかりは見えず卯の花の咲くや卯月の夕やみの庭(草根集)

いづ れをかそれともわかむ卯の花の咲ける垣ねを照らす月かげ(続後撰和歌集)

夏の夜は卯の花垣に波こえて月をうかべる玉川の里(正治初度百首)

卯の花のさかりならずは山がつの垣根に誰か心とめまし(続後拾遺和歌集)

卯の花の咲くとはなしにある人に恋ひやわたらむ片思ひにして(万葉集)

かずならぬ身をうのはなの咲きみだれものをぞ思ふ夏の夕ぐれ(順集)

明け暮れて日ごろへにけり卯の花のうき世の中にながめせしまに(玉葉和歌集)