牛込日乘

日々の雜記と備忘録

Mind the Gap

2006-07-10 23:47:48 | Weblog

 20:00、会社帰りに新宿に寄り、夏用の衣類をいくつか購う。デフレの落し子というべきか、ターミナル駅の周りにはどこでも、ユニクロ、GAP、コムサストア、ZARAなどの大型店舗が林立している。これらの衣料品チェーンはどこも「そこそこのセンスの品を、お得感のある値段で」という基本方針をとっている。経営戦略立案や管理、デザインをヘッドクォーターのある先進国でおこない、実際に製造するのはいわゆるBRICsやその他AA諸国が担当しているのだろうと思われる。

 今日ちょっと数店舗をチェックしただけでも、中国、バングラディシュ、ベトナム、珍しいところではエジプトなど。実際、これらの国々には、我々が安い安いと喜んでいるこれらの衣類を、工場で指示に従って断裁し、縫製し、厳しい品質チェックに耐えながら働いている無数の労働者が存在しているはずである。彼らは、自分たちが作っている衣類を「安い安い」と言いながら日常的に買えるような生活を送っているのだろうか。しかし、私自身も含めて、そんなことを意識して買い物する者などまずいない。

 かの国々で働く人々は、実は我々の父母、祖父母、オジオバの数十年前の姿と何ら変わるところはない。じっさい彼らも、そうした衣類を惜しげもなく消費できるような「豊かな生活」を目指して、毎日汗を流しているのであろう。我々にとってこれらの衣料品チェーンでモノを選び、買うことは、<何か>と引き換えに「カネを惜しむ」行為である。その<何か>とは、具体的には例えば工場の海外移転でリストラされてしまった親戚のおじさんとか、就職先がなくて「ニート」と呼ばれ、いつか自分自身を「ニート」として規定することに馴致させられてしまった年下の従兄弟、というような形をとって現れる。