牛込日乘

日々の雜記と備忘録

What should I call you?

2010-07-14 23:27:26 | Weblog
海外の人とコミュニケーションを取っていて何となく居心地が悪いのは、自分を下の名前で呼ばれることである。日本社会では、概して、社会に取り込まれる度合いが高いほど肩書きで呼ばれることが多く、また名字+さんというのがニュートラルで、いい大人が下の名前を呼ばれるのは、①同姓の人を区別する、②よほど下の名前に特徴がある、③非公式な場で親しみを込める――といったケースがほとんどである。また、このコードは特に男性に強く適用されている。

先日香港でさまざまな国の人と話した際にも、自己紹介時に「<(私の名字)+さん>で呼んでください」と頼んだのだが、分からない人は最後まで分かってくれなかった。ファーストネームをほとんど使わないというのは、非常に奇異に思われているようである。一方、長年仕事で日本人とつきあいのある人はよく分かっていて、最初から○○さん、で通してくれている。同じ漢字文化圏である中国(含む香港&台湾)はどうかというと、基本的に西洋風の通称を持っているので、それで呼び合っている。私が過去にあった名前としては、男性ではEdward, Jack, William, Mark, Jeffrey, Rickなど、女性ではMable, Alan, Natasha, Fannyなど。本名との関連性は不明。また、韓国については知り合いがいないのでよく分からない。

私も今となっては下の名前で呼ぶのは両親と親戚くらいである……のだが、実は高校の同級生の女性陣からは私はずっと君付けではなく下の名前をアレンジした呼び方をされていて(~ちゃん、ってやつね)、たまに会ったりすると懐かしいような恥ずかしいような、妙な気分になる。

What happened to him?

2010-07-13 00:46:08 | Weblog

中学生の頃、私はなぜか剣道部に入っていた。二つ上の学年のキャプテンはUさんという、まじめで成績優秀しかも生徒会長という人だった。八〇年代初頭の中学校は全国どこでもそうだったように「金八先生」と「横浜銀蠅」の世界で、変型学生服にパーマをかけたいわゆるつっぱりの一群が幅をきかせていた。そして、Uさんはそんな不良たちにも一目置かれる存在だった。ある日の放課後の体育館裏で、東京から転校してきたひときわ目立つ不良からの理不尽な挑戦に一歩も引かず、気合いで退散させていたその勇姿を、今でもはっきり思い出すことができる。

私はUさんと同じ高校に進んだのだが、高校時代の彼は特に目立つ存在ではなかった。確か水泳部か何かに籍を置いていて、黙々と練習している姿をちらりと見かけたことがある程度である。もとより私からすれば遠くから見ているような存在で、特別親しかったわけではない。一年生の終わり頃、同じ高校の一学年上にいた従兄弟(中学時代は同じ剣道部にいた)に、「そういえばUさんは大学どうするのか知ってる?」と聞いたみたところ、「よく分からないけど、突然『俺は絵描きになる』って言い出して、浪人して芸大を目指すとか言っているらしいよ」という話だった。特に絵の才能があるとは聞いたことがなかったのだが、その一年後に本当に芸大の合格者に彼の名前が出ているのを見て、何という意思の人だろうかと軽い畏敬の気持ちを持ったものである。

それから二十五年あまりの歳月が過ぎ、すっかり忘れていたUさんの名前を、思いがけないところで発見した。先日の参議院選挙の立候補者として、新聞に出ていたのである。彼が所属しているのは、まあ、何というか、仕合わせを実際に現出させようというポリシーを持っている政党なのだが、どのようなゆくたてを経てそのような場所に行き着いたのかは分からない。ただ、まったく意外であるという感じでもないのである。魯迅「故郷」のような、若き日の偶像が破壊されるといった大げさなものではないのだが、深夜の開票速報で他の候補者より二桁少ない投票数を確認しながら、何とも言えない思いを抱いた。


アジアの中の日本

2010-07-07 23:58:31 | Weblog
一週間の香港滞在を終えて土曜日に帰国。仕事上で得るものはかなりあったが、それは置いておいて感想を少々。

・香港、台湾、シンガポール、マレーシア、オーストラリアなどの国の人々は概して親日的で、非常に助かった。
・日本の商品はグレードが高いという扱いを受けているように思われる。飲食物、玩具、電化製品等は、あえて日本語表記をしているものが多く見受けられる。とはいえ、こうした高い評価を支えてきたさまざまな要素が劣化していくことを感じている身としては、単純に喜ぶわけにもいかず、何だか薄ら寒いものを感じた。
・皆さんサッカーがお好きで、確か火曜日の夜に日本対パラグアイ戦がTVで放映されていたのだが、「当然観るんだよね?」といった接し方をされると「あまり興味ないんで」とも言えず、結局ずっと観る羽目に。これが延長でも決着がつかずPK戦のあげくに敗退するという結果で、まあ、素人目には面白い試合ではあったものの、翌日は寝不足で参った。韓国が敗退してしまっていたので、日本をアジア代表として応援してくれているようであった。
・香港、シンガポール、マレーシアなどでは、幼稚園から英語を学ぶのが一般的なので、皆さんかなり達者である。大学の授業などもかなりの程度が英語で行われているようで、「日本の大学ではもちろん日本語で授業が行われるし、大学教授といえども全員が英語ができるわけでは全然ない」と説明したら信じられないという反応をされた。母国語で高等教育ができるというのはかなり恵まれた環境であるとも言えるが、レベルやカリキュラムなどの点で、携帯電話同様「ガラパゴス化」していく恐れもある。
・ちなみに携帯電話はiPhoneかBrackberryを使っている人がかなり多い。
・ヨーロッパと違ってミネラルウォーターはほとんどが軟水。これはうれしい。
・物価は総じて日本と同等か、やや安い程度。場末の食堂などはかなり安いが、これは庶民の外食文化が浸透しているせいか(名古屋の喫茶店のようなもの?)。