六月も終わり。思えばこのひと月は身内の葬儀に始まり妻の入院、出産を経て、同居家族が一人増えるまでに至る。人間の一生を巡る生々しい現実の渦中にいたのかもしれないが、今はとても何か気の利いたことを考えているような余裕はない。もう少し落ち着いたら少しは感慨のようなものもあるのかも知れぬ。
今の段階で何か感想があるとすれば、ひとつは非日常的な現象に対して現実的な対応や精神の鎮静を図ったりする際の、宗教的な慣習とか伝統とか呼ばれているものの効用を再発見したということ――まあ早い話が寺や神社に行く機会が多く、それはそれで実際的な恩恵も受けたし、面白くもあったということである。
今日は母を伴い近所の江戸川橋地蔵通り商店街に買出しに出かけたが、ここにある子育て地蔵尊という小さな廟を、はじめて自分自身の生活に関係あるものとして見直した。賽銭をあげて線香を立ててきたが、絵馬を奉納する人も多いということもはじめて知った。「かの女ができますように」と書かれたものもあり、そんなことを子育て地蔵に祈っても大丈夫なのかねえ、とまあ、これは余計なお世話。
ちなみにこの商店街には、サトウハチロー、加藤芳郎、そしてなぜかエアロスミスのメンバーが訪れたという鯛焼屋がある。