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児童相談所に警察官はなじまない

2010-10-29 02:34:40 | 指定なし

 最近,児童虐待の関係で,児童相談所がしょっちゅう登場するが,児童相談所も,とうとう警察とタイアップするようになってしまった。


 


 児童相談所は,児童福祉法に基づいて都道府県が設置するとされている施設で,児童に関する専門的立場からの相談に応じることや,児童の調査・判定を行うこと,児童とその保護者について必要な指導を行うこと,児童の一時保護を行うことなどを目的として設置されている。


 


 この業務は,ときに,児童を半ば強制的に隔離して,一時保護することもあるが,それでも,その措置は,あくまで保護であって,逮捕とか,少年院とかの強制措置とは違うものとされているし,保護者に対する働きかけも,あくまで「指導」に止まるものとされている。


 


 虐待の疑いがあっても,なかなか強制的に踏み込めなかったというのも,このような性質に由来している。


 


 そもそも,虐待に強制力を行使したからといって,虐待問題が解決するわけではない。刑罰法規に触れる行為があれば,啓示的に強制措置をとることもできるが,一旦保護者を刑務所に入れたとしても,いずれ,子供のところに戻ってくる。そのような先々を見通すと,その場での強制力の行使は,長期的には決して好ましいことではないともいえる。そのような観点から,警察とは一線を画していたというのが実情だろう。


 


 しかし,最近の虐待の実情からすると,そうもいっていられない,背に腹は代えられない,といったところなのだろうか。


 


 最近の虐待親が,児童相談所からのソフトな指導を,簡単に受け入れるとは思えない。虐待の現場に乗り込み,ときに強制力を行使して,親子関係に強力に介入するというのは,今の実情に照らして,やむを得ないことなのかもしれない。


 


 まあ,今回の人事でも,警察官が警察官としての強制力を行使するわけではなく,あくまで,児童福祉法で認められた範囲内での権限行使なのだろうが,権限行使になれている警察官のノウハウを活用してもらいたいということなのかもしれない。


 



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