夜の町の悪弊にメスか？

　華やかな夜の社交界に憧れて入った，あるいは，借金の重みに耐えかねて夜の世界に移ってきた，いずれにしても，この世界に来た女性たちを苦しめるのが，いろいろな形で，利益を吸い上げようとする諸々の悪弊である。

 

　さすがに，前借金をすると，労働基準法違反で，労働基準監督署が入ってくるので，もろにはやられていないだろうが，高利の借金によって仕事に縛り付けるというのが最大の悪弊。

 

　それだけでなく，遅刻の罰金，ついた客のツケの取り立て，客がツケを払わなければ，当然のように女の子の負担になるといった仕組み，同伴出勤，衣装代，その他なんやかんやでの天引きといったものが，別に銀座でなくても存在しているらしい。まあ，銀座でやっていれば，他のところでもやっているのが当たり前ともいえる。

 

　そうでなくても，自前のドレス，化粧品，クツ，装身具などなど，夜のお仕事も結構金がかかる。だから，せっかく夜のお仕事に就いたのに，結局，よけいに借金を抱えてしまう人も少なからずいる。

 

　普通の客商売とも違って，特殊な世界だけに，このような悪弊の是正が，労働審判に向いているかどうか，疑問もあるが，いずれは，何らかの形で解決せざるを得ない問題だともいえる。

 

　今回提訴した女性は，多分，銀座とか，その周辺で，この世界に止まることは無理ではないか。

 

　それでも，今回の提訴が，他の人達のために，いい方向への流れを作ることができれば，無理して提訴した甲斐もあったというものであろうか。