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関東鉄道 キハ300形・キハ350形・キハ100形気動車

2010-12-17 23:40:08 | 電車図鑑・ローカル私鉄&第三セクター
戦前製から戦後製の老朽化した車両や、あまりに雑多であった車種を可能な限り
統一するため、国鉄のキハ35系通勤型気動車を譲り受けたものである。
昭和62年~平成4年にかけて両運転台のキハ300形が16両、片運転台のキハ350形が
23両の計39両が導入された。
国鉄時代の形式はキハ300形がキハ30形、キハ350形がキハ35形とキハ36形である。
なお、キハ301号車は、一旦、筑波鉄道に譲渡されたあと、昭和62年の同線廃止に
伴い、入線したもので、他の車両と経歴が異なる。
編成の組み方はキハ350形が奇数車と偶数車で構成され、下館側が奇数車、
取手側が偶数車となる。
キハ300形は単行運転、および増結用である。なお、本形式から4両がワンマン仕様の
キハ100形に改造されたが、キハ2200系の登場で2両がキハ300形に復元されている。
車番の付け方は、10両目以降は下2桁がはみ出るものとなり、例えばキハ350形の
10両目は「360」号ではなく「3510」号となる。
また、国鉄時代の旧番号とは関係なく、落成した順番に車番を振りなおしている。
なお、国鉄時代の最若番車はキハ304号車で、国鉄時代はキハ30形7号車であった。

車体は普通鋼鉄製で国鉄が昭和30年代に増備していた101系電車をベースに、
気動車の設計を採りこんだものとしている。
製造時期は昭和36年~41年である。
正面は切妻で約半数の車両が国鉄時代に前面補強工事を受けている。
塗装は「新車」をアピールするため、アイボリーにオレンジとこげ茶の帯で、
本形式からの採用となった。
行き先表示は正面向かって右側に字幕式のものを設置している。
導入時、車体構造の大きく異なる車両と連結する関係から、
連結部の幌と貫通扉を使用せず、手すりを設置して非常用としていたが、
取手駅構内で発生した列車暴走事故(一つ手前の西取手駅でブレーキが
かかったままになる故障の復旧操作の際、ブレーキに空気を送るコックを
戻し忘れたため、ブレーキがかからなくなり列車が暴走。そのまま車止めを越え、
その先の駅ビル店舗に突入して大破した。下り坂だったのと約900名の乗客が乗る
ラッシュ時であったことから被害が拡大し、乗客1名死亡250名以上が重軽傷を負った。
この事故で大破した本形式のキハ302号とキハ3010号が廃車されている)の反省から
幌の取り付けを実施している。
この他、外観的に変更を受けた部分はほとんどない。

車内はオールロングシートである。キハ35形を種車とする車両については車端部に
設置されていた便所を撤去して立席スペースにしている。
なお、この部分はトイレの利用者と対面の座席利用者の視線が合わないように
2人掛けの固定クロスシートになっているが、これについてはトイレ撤去後も
残置されている。
ドアは片側3ドアで国鉄時代からの特徴である外吊り式の両引き戸もそのままである。
ドア部分にはステップを設けていたが、関東鉄道の駅ホームの高さに合わないため、
埋め込み、外側に軽くスロープ状に傾斜させている。
なお、ドアは当初、鋼鉄製だったが、老朽化のため、ステンレス製のものに
交換している。
導入時は冷房の設置をしていなかったが、平成元年より走行用の機関とは別に
冷房用機関を搭載するサブエンジン方式で搭載した。
この冷房用エンジンは大型観光バス向けのものを改修したものである。

エンジンはオリジナルのDMH-17H形ディーゼルエンジンを搭載していたが、
老朽化が進んでいたことや保守部品の確保が難しくなってきたため、
平成5年~平成8年にかけて、DMF13HZ形に換装している。
またエンジンの強化に伴い、同時にクラッチも湿式多板式のものに交換されて
統一されている。
ブレーキは空気自動ブレーキである。

冷房化は事故廃車になった2両の他に2両を除いた35両に実施された。
この冷房装置は、能力そのものに問題はなかったが、排熱が上手くいかず、
折り返しなどでの長時間停車中にオーバーヒートを起こすことが度々あったため、
屋根上に放熱器(「スーパークーラー」と称する)を新たに設置している。
平成9年に水海道~下館間のワンマン運転開始に伴い、キハ300形4両がキハ100形に
改造された。
主な内容はワンマン機器の搭載(料金箱・整理券発券機・運賃表設置、自動放送装置
取り付け、運転台へのドアスイッチ設置、運転室の一部仕切りと運転室側の座席の
一部除去など)である。
しかし、翌年にはキハ2200形が導入されたため、キハ103号車、キハ104号車は
キハ300形306号、3016号に復元されている。
残る2両は単行運転で使用されることから、平成13年に踏切事故からブレーキなどの
走行機器を守るため、スカートが設置された。
取手口で使用される車両についてもワンマン化改造を実施しているが、こちらは
駅での料金収受を行う方式である為、大掛かりな改造は受けていない。

平成9年より老朽化に伴う廃車が開始され、平成19年9月現在で全形式14両が在籍し、
うち4両がワンマン化未対応のため休車となっている。
残存するキハ30系列の車両として貴重なことから、イベントなどでよく利用され、
平成18年に映画出演のため、キハ358号、キハ3511号、キハ3518号、キハ3519号の
4両がスカイブルー(気動車ながら京浜東北線の「電車」として出演)化された他、
平成19年には開通90周年を記念して、キハ101号をタラコ色に、キハ102号を
常総筑波鉄道時代の紺色とクリームのツートンに、キハ353+キハ354を
本形式導入直前まで使用していたクリームと朱色のツートンカラーに、
それぞれ塗装されている。
今後も置き換えが順次進められる予定であるが、後継車両の増備が、
大きく進んでいないことから、もうしばらくは運用される見通しである。


○キハ350形車内。左側の天井にあるのがクーラーの室内機。


○キハ350形運転台。いかにも国鉄気動車らしい運転台。


○偶然見つけた国鉄時代の機器。何の部品かは車内からはわからなかったが、
 「伊勢 キハ30 7」とある。ちなみに国鉄キハ30形7号車は既述の通り、
 関東鉄道キハ304号車になっているので、点検の際などに部品を交換したものと
 思われる。
 ちなみに車内の扇風機には、くっきりと「JNR」マークが残っている。


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