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近江鉄道 ロコ1100形電気機関車

2013-01-05 21:50:18 | 電車図鑑・ローカル私鉄&第三セクター
彦根駅構内での貨車の入換のため、国鉄より譲り受けた電気機関車である。
昭和24年より借り受け、昭和26年に正式に入籍した。

元は阪和電気鉄道(JR阪和線の前身。戦前は「超特急」など高速運転をする電車を
運行して並行する南海電鉄と凌ぎを削った)が天王寺駅での貨車の授受・入換の為に
導入したものである。
昭和5年にロコ1101号の1機のみが日本車輛で製造された。

当時の私鉄に多く導入されていた普通鋼鉄製の典型的な凸型車体を有する。
進行方向側の片隅(向かって左側)に乗務員用の出入り口を設けているため、
上から見るとボンネットの形状が運転台を境に点対象となっている。
塗装は茶色一色であったが、近江鉄道移籍後独自のグレーにデッキをイエローとした
ものに変更された。

主制御装置は抵抗制御でブレーキは発電ブレーキと回生ブレーキ、空気自動ブレーキを
備え、回生ブレーキは近江鉄道に移籍後撤去されている。
発電ブレーキと回生ブレーキは天王寺駅での貨車の授受線に急勾配があったため、
ここを降りる際に必要とされたためである。
また、直流1500V架線集電式の車両では珍しく制御器に直接制御を採用した。
基本的にこの電圧であれば間接制御を用いるのが一般的であるが、機敏な操作が求められる
入換作業において、マスコン投入から起動までのタイムロスが直接制御ではほぼそれが発生しないため、
敢えて採用されている。
なお、本形式は当初より入換用であり、本線を走行することはほぼ無く、近江鉄道移籍後も同様であった。
台車は板台枠台車でモーターの駆動方式は吊り掛け駆動である。

既述の通り、天王寺駅構内での貨車のやり取りで運用された。
戦時買収で阪和電気鉄道が南海電気鉄道に吸収されて南海山手線となり、
さらに国鉄に買収されて阪和線になったが、籍は動いたものの形式などの変更は行われず
そのままとされた。
昭和24年より近江鉄道に貸し出され、昭和26年に正式に移籍した。
近江鉄道でも彦根駅構内での貨車や電車の入換作業に用いられた。
本線での華々しい活躍とは無縁であったが、入換機としては優秀であり、
平成16年まで在籍していた。
除籍後は彦根駅構内にて保存されている。
また稼働状態であり、時折ほかの展示車両の移動などにも用いられている。


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