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近江鉄道 820系電車

2012-02-24 22:11:40 | 電車図鑑・ローカル私鉄&第三セクター
老朽化の進んだ旧型車両の置き換えと車両の大型化による輸送力改善、冷房化の推進のため、
西武鉄道401系電車を譲り受けたものである。
平成2年~9年にかけて2両編成×15本=30両を譲り受けたうち、2両編成×2本=4両が
本形式へ平成9年に改造された。
貴生川側からの編成の組み方と新旧車番の対比は以下の通りである。

近江鉄道モハ820形+モハ1820形←西武鉄道クモハ401形(奇)+クモハ401形(偶)
821編成・モハ821+モハ1821←西武鉄道クモハ429+クモハ430
822編成・モハ822+モハ1822←西武鉄道クモハ431+クモハ432

竣工したのは822編成の方が平成9年3月と早く、821編成は5か月遅れの同年8月である。
2両電動車ユニット方式をとっており、820形にパンタグラフと主制御装置、1820形に電動発電機や
エアコンプレッサーなどの補助機器を搭載している。
本形式は正式に西武鉄道からの譲り受け車という扱いになっており、近江鉄道では通例となっている
在来車からの車籍引き継ぎを実施していない。

車体は普通鋼鉄製で従来車よりも車体が大きくなったことから先頭部分や連結部分の角の部分が
削られている。
先頭部分については西武鉄道時代と比較してもそれほど手が入っておらず、上記の左右下部の
角部分が削られ、ステンレスの装飾が外された程度である。
なお本形式は2本とも雨どいが屋根の方に上った元西武401系(←西武411系)の中でも後期型の
車体となっている。
塗装は竣工時よりイエロー一色で客用ドアはステンレス無塗装であったが、821編成については
平成23年の検査時にドアもイエローで着色された。
行先表示は正面のみで字幕式である。

車内はロングシートで基本的に西武時代との変化は少ない。
ワンマン運転実施のための機器を運転席後方に設置したため、運転席直後の座席が
片方だけ撤去された他、整理券発券機が連結側のドア付近に設置されている。
ドアは両引き戸で片側3か所である。

主制御装置は抵抗制御で西武時代そのままであるがブレーキは発電ブレーキ併用
電気指令式ブレーキに改造されている。
この電気指令ブレーキは近江鉄道で独自採用されているものである。
台車は車軸支持がペデスタル式のダイレクトマウント式空気ばね台車で
モーターの駆動方式は中空軸平行カルダン駆動方式である。
運転台はツーハンドル式でいかにも古めかしいマスコンと独自の形状の電気指令ブレーキの
ハンドルが並んだものとなっており、本形式で一番手のかかった改造部分となっている。

元々平成5年に登場したものの駅施設の改修が済むまで営業運転に就くことができなかった
800系電車の簡易改造版として登場したものであるが、正面窓の形状から冬季の着雪時に
雪がはりついて前方の視界が塞がりやすいことが判明したため、本形式以降の改造車は
800系もしくは700系となった。
なお、竣工時期の差から先に改造されていた800系よりも営業に就いたため、
近江鉄道で初めて営業運転に就いたカルダン駆動車は本形式が初である。
2本とも他の800系や700系と共に運用されている。
平成22年の春ごろ、機器の不調から821編成が運用を離脱していたが、翌平成23年の梅雨入り前に
検査と整備の上で運用復帰している。
この時、記述の通り、ドアが黄色に塗り替えられたため、編成の区別がしやすくなった。


○八日市駅で近江八幡への発車を待つ821編成。ドアが黄色く塗られている。


○八日市駅で留置される822編成。こちらはドアは無塗装のまま。


○車内。西武時代とほぼ変化なし。少し前の西武線を知るものなら誰もが懐かしむ雰囲気。


○運転台。ナブコ製の電気指令ブレーキのハンドルが目立つ。


○休車となり彦根車庫で留置される821編成。塗装などにだいぶ痛みが出ていたが、
 この後、検査を受けなおして運用復帰している。
 


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