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水の丘交通公園

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京阪電鉄 5000系電車

2009-02-22 18:35:32 | 電車図鑑・私鉄電車(関西)
京阪電鉄がラッシュ時の遅延防止のために登場させた車両である。
昭和45年~55年にかけて7両編成7本49両と事故代替車1両の計50両が製造された。

本形式が登場した昭和45年ごろの京阪本線では混雑が酷く、朝ラッシュ時には
列車の遅延が恒常化していた。
この頃より、1編成当たりの車両数を増やすための架線電圧の昇圧(600V→1500V)化、
高架複々線の延伸工事などが着工したものの、その準備工事(車両や変電施設の改修、
用地買収など)で少なくとも10年以上の期間と莫大な費用が必要であった。
このため、即効薬として、ダイヤ乱れの原因となりうる普通列車に7連のままで
かつ輸送力を確保した車両として開発されたのが本形式である。

車体はアルミ製で、当時の京阪電車の丸っこいイメージとは異なり、角型である。
これらは、後述する特殊な機構を採用したためのもので、軽量化や車体形状の
単純化が目的である。

ドアは乗降時間短縮のため、18m級の車体ながら、片側5ドアとしている。
これはケーブルカーなどの特殊な鉄道を除けば日本最初のものである。
座席はロングシートで、各車両2番目と4番目のドアにも昇降式の座席が設けられている。
これは、ラッシュ時には天井部に座席を収納してドアとして使用し、混雑時間帯が
終わると、ドアを締め切り、天井より座席を下ろし、着席定員を増やすことが
できるという極めて特殊な機構である。
座席の格納・展開については、停車中で、かつ該当のドアが施錠状態で、
なお編成前後の運転台からの同時操作でなければ作動せず、
作動時は常時、警報ブザーが鳴動するという4重の安全策が採られている。
この装置の開発には川崎重工が実物大模型で3ヶ月1万回にも及ぶ耐久実験を基に
安全性を確認した上で採用している。
また、この装置は京阪と川崎重工で特許をとっており、後に他社で製造された
車両では採用されていない。
これらの作業は概ね、出庫前に各車庫や留置線で行われるほか、運用上、車庫に戻らない
場合は終着駅で、乗客を全て降ろし、ドアを締め切った上で行うことがある。

塗装は京阪通勤車標準の濃淡グリーンのツートンで2番目と4番目のドアは、
上半分が無塗装(銀色)に「ラッシュ用ドア」のタグが貼られている。

行き先表示については、当初、側面のみに種別・方向幕を採用していたが、
昭和51年に製造された第5編成より、正面ドアにも設置され、平成元年には
それ以前の編成にも取り付けられている。
ただし、昭和55年に置石事故で脱線した5554号車の代替車については、
旧態のまま(正面字幕無し)製造されている。

主制御装置は抵抗制御で、昇圧対策が施されている。
ブレーキは発電ブレーキ併用全電気指令式電磁直通空気ブレーキを、
京阪で初めて採用している。
このため、これ以前の他の形式の電車と連結が出来ない。
台車は空気バネ式で、軸箱支持方式が、初期車がエコノミカル、後期型が
円筒案内式と異なっている。

平成10年から車体更新を実施し、常用ドア(1・3・5番目)上部への旅客案内装置の
設置(LEDスクロール式で千鳥配置。マップは常用ドア全部に設置)、座席や内装の
張り替えなどを実施した。
足回りでは、抵抗制御から界磁添加励磁制御となり、ブレーキも回生ブレーキが
使用可能となったため、回生ブレーキ優先電気指令式電磁直通ブレーキに改修されている。
旅客案内装置については平成20年に再度改修されたほか、塗装も新塗装への
塗り替え(上がダークグリーン、下がホワイト、間にライトグリーンの帯)が
開始されている。

登場以来、平日朝ラッシュ時の最混雑列車に投入され、多扉車の威力を
遺憾なく発揮している。
その他の時間帯では7連車運用(主に準急や普通列車)で運用されている。


ラッシュ用ドア。上半分が銀色である。



座席展開時の車内とドア部分の座席近影。
ドアの前に座席が降りているのがわかる。
ちなみにこの部分の座席、折りたたみ式とは思えないほどの座り心地と
なっている。


全ドア使用時の車内とドア部近影。
この様に上部へと折畳まれる。


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