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近畿日本鉄道 22000系電車「ACE」

2012-05-26 07:21:25 | 電車図鑑・私鉄電車(関西)
乙特急用の「エースカー(10400系・11400系)」の老朽化に伴う置き換えのため登場した車両である。
平成4年~平成6年にかけて4両編成×15本=60両、2両編成×13本=26両の計86両が製造された。
製造を担当したメーカーは近畿車輛である。
車両愛称は「ACE」で「エーシーイー」ないしは「エース」と呼称される。
「ACE」とは「Advanced(進化した)、Comfort(快適な)/Common(汎用性のある)、Easy-operation
(扱いやすい)/Express(特急車)」の略語である。

今回は近鉄名古屋線、大阪線、京橿線、奈良線などで運用されている22000系のみの紹介とし、
同型の車体を有し、南大阪線用の16400系の紹介は別途機会を設けて行う。
編成の組み方は大阪難波側から以下の通り。

4両編成:モ22100形+モ22200形+モ22300形+モ22400形
2両編成:モ22100形+モ22400形

4両編成と2両編成が混在しつつも下2桁の編成番号は通し番号となっており、
中間車のない2両編成ではモ22200形、モ22300形に欠番が生じている。
電算記号は4両編成が「AL」、2両編成が「AS」で例えば2両編成で編成番号が21であれば
「AS21」と表記される。
パンタグラフと主制御装置はモ22100形とモ22300形、補助電源装置(DC/DCコンバータ)と
エアコンプレッサーはモ22200形とモ22400形に搭載している。
トイレはモ22200形とモ22400形に設置され、車内販売準備室はモ22300形に設置されている。
なお、パンタグラフはAL編成がモ22100形とモ22300形に1基ずつ、AS編成はモ22100形に2基
搭載している。

車体は普通鋼鉄製で床板などの一部にアルミが使用されている。
大胆な3次元曲線を用いて天井を極力高くしたほか、ドアなどを新設計のものとし、
車体外観の凹凸を極力減らしたものとしている。
正面部分は貫通型となっており、自動開閉式の貫通路カバーが設けられ、連結時はカバーを
自動で展開し、中から幌を引き出す方式のものを採用している。
塗装はオレンジに窓周りを紺色とした近鉄特急色を引き継ぎつつもデザインは新規のものとなり、
面目を一新している。
行先表示は正面向かって左側と側面にあり、いずれも字幕式である。

車内は左右2列配置の回転式リクライニングシートでテーブルは肘掛内に折りたたまれる
方式のものを設置した他、簡易形の跳ね上げ式フットレストを設置している。
座席の枕カバーには運行開始当初、黄色い専用のものを使用していたが
現在は他の車両と共通のカバーに変更されている。
車いすスペースはモ22300形に設置され、この部分は仕切りを設けて独立させ、
1人掛けシートを左右に設置している。
この部分はスペース確保の面からフットレストは設置されていない。
トイレと洗面所はモ22200形、モ22400形にあり、4連のモ22400形のトイレは
車いす対応となっている。
トイレは男子小用と男女共用の洋式の個室であり、和式は当初より設置されていない。
洗面所は円形の鏡の周りにサークル状に照明が設けられた独自のスタイルのものを
採用している。
照明は天井の間接照明のほか、荷棚下部にも照明が設けられている。
ドアは片側各車両1か所ずつで扉にはプラグドアを採用し、車体断面との一体化を図っている。
旅客案内装置は各車客室出入口上部にLEDスクロール式のものを装備している。
号車番号表示は近鉄では連結位置が列車によってその都度変えられてしまうのでデジタル表示の
大型のものを別途設置している。

主制御装置はGTO素子を用いたVVVFインバータ制御方式で近鉄の特急用電車では初めて採用した。
ブレーキは回生・発電ブレーキ併用電気指令ブレーキで青山峠や生駒山などの勾配通過に備え、
抑速ブレーキも装備する。
常用ブレーキは回生ブレーキであるが、回生ブレーキが機能しない場合は発電ブレーキに
切り替わる機能がある。
また、12200系「スナックカー」や12400系「サニーカー」、30000系「ビスタEx」などの在来の
特急車との連結運行も可能なように読み替え装置も有する。
台車はボルスタレス式のダイレクトマウント空気ばね台車で軸箱支持方式は
積層ゴムブッシュ式である。
モーターの駆動方式はWN駆動方式でVVVF制御の採用で従来よりも高出力ながら小型の
交流モーターを搭載を実現した。
このことから、広軌車で台車内のスペースに余裕ができたため、全車電動車ながら
車軸には薄型のディスクブレーキを装備し、ブレーキ力の向上が図られている。
最高運転速度は130km/hで在来車との併結時は120km/hとなる。
運転台は縦軸式ツーハンドルマスコンである。

乙特急用の汎用特急車としては12600系「サニーカー」以来の新形式で一大センセーションを
巻き起こした21000系「アーバンライナー」登場後ということもあり、本形式の開発に当たっては
近鉄、近畿車輛のデザイン室のほか外部のデザイナーも加わる大がかりなものであった。
平成4年にはグッドデザイン賞を受賞している。
当初の予定では更に16両ほど追加で製造される予定であったが、特急利用者の減少と
在来車両の内装のリニューアルに方針を転換したことから中止されている。
平成5年に投入された22111編成(AL11編成)は当時の近鉄の保有車両が2000両を突破した
記念のプレートを車内にあるメーカーズプレートの下に取り付けている。
運行開始当初は名阪乙特急限定であったが、車両が増備されるに伴い、他の系統の特急にも
投入されるようになった。
登場以来、在来の「スナックカー」、「サニーカー」、「ビスタEx」と併結されて運用される
機会が多いが単独で運用される機会も少なくない。
ラッシュ時の一部列車では10両編成での運行もある。
平成24年まで大きな改造も廃車もなく全車健在で推移している。


○車内。グレーのトーンで落ち着いた雰囲気。


○大阪上本町駅に入るAS編成。後ろには12200系「スナックカー」を従えている。
 左端に写っているのも特急車だが近鉄は沿線に京都・奈良・伊勢・志摩と多くの観光地を
 抱え、休日には各方面に様々な特急車が運行されている。


○橿原神宮前駅で京都方面への折り返しを待つAL編成。


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