水の丘交通公園

鉄道メインの乗り物図鑑です。
※禁無断転載!使用に際してはコメント欄にて
用途を申告してください。

西武鉄道 5000系電車 「レッドアロー」

2009-10-10 10:10:10 | 保存車・博物館
西武秩父線の開業に伴い登場した、西武鉄道で初めての特急用電車である。
昭和44年~昭和53年にかけて6両編成×6本=36両が製造された。
なお、登場時~最初の4本は4両編成で登場した。
昭和45年に鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞した。現時点で鉄道友の会の
賞をもらったのは本形式のみである。
また、西武鉄道の電車として戦後初めての外注車であることも話題となった(西武では
平成12年まで自社の所沢工場で車両の製造を行っていた)。

車体は鋼鉄製で大窓が特徴の裾絞りのある幅広車体を採用している。
塗装はクリームにレッドのラインである。側面下部のラインはヘッドライトに
つながり、側面上部のラインは正面窓周りをストライブ状に縁取りされている。
正面窓周りはステンレスの装飾がなされ、正面中央に金色の社紋が入る。
正面上部左右には標識灯、正面下部左右にヘッドライトとテールランプがあり、
真ん中に列車名を表示する。当初はヘッドマークであったが、昭和53年より
電照式になった。

足回りはメンテナンスの合理化のため、101系と全く同じとされ、抵抗制御、
抑速ブレーキ付き発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ、ダイレクトマウント式
空気バネ台車となっているほか、冷房用の電源を確保するため大出力の
電動発電機を搭載している。
しかし、真新しい外観の一方でエアコンプレッサーは旧来品のAK-3形(国鉄の
旧型車などに多く使われていたもの)を搭載し、当時の西武鉄道らしい保守的な
設計思想が垣間見える。

ドアはデッキ付きの片側2箇所で2枚内折れ式である。
車内は回転クロスシートでデッキとの仕切り戸はスケルトンのオレンジ色の
自動ドアである。飯能側先頭車の連結側デッキにはトイレと車内販売準備室が
設けられた。

形式はクハ5500形とモハ5000形、モハ5500形の3形式で飯能側が奇数車、
池袋・西武秩父側が偶数車である。
クハ5500形正面の連結器には101系や他の形式と組めるように電気連結器が
装備されていたが、6両編成になってから撤去された。
また、6両編成化後にはクハ5500形の偶数車にもトイレと車内販売準備室が
設けられた。
客室座席についても交換が行われ、回転クロスシートから回転式簡易
リクライニングシートになり、後に段バケット付きの簡易リクライニングシートに
交換されている。

昭和62年より車内外のリニューアルを行い、座席のフリーストップ式
回転リクライニングシート化、内装の張り替え、1・6号車の運転室側デッキへの
カード式公衆電話の設置、ワイパーの2連電動化などが行われた。

平成5年には天皇陛下が秩父へ向かう際のお召し列車となり、5507編成に
ご乗車になった。中間車の座席が赤色のモケットに張り替えられ、ガラスも
外から見るとかなり色の濃いものに変更された。

同年西武新宿線に10000系ニューレッドアロー「小江戸」がデビューし、翌平成6年から
池袋線にも10000系が投入され、置き換えが始まり平成7年までに通常営業から
引退し、平成8年の団体輸送をもって全車引退した。

引退後は台車や機器類を9000系や10000系に譲ったほか、6両分の車体が富山地方鉄道に
譲渡され、JRや京急から譲受した機器を組み合わせて同社の16010系として
運行されている。
また、クハ5503が電照式ヘッドマークを撤去して、ワイパーと内装以外を
登場時の姿に復元し、横瀬機関区で保存されたほか、クハ5504とクハ5507の
先頭部分が前者が西武秩父駅、後者が横瀬機関区に保存されている。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。