水の丘交通公園

鉄道メインの乗り物図鑑です。
※禁無断転載!使用に際してはコメント欄にて
用途を申告してください。

国鉄 DF50形電気式ディーゼル機関車 (四国鉄道文化館保存車)

2008-11-17 11:54:14 | 保存車・博物館
非電化の亜幹線での蒸気機関車の廃止を進めるため、昭和32年に登場した
ディーゼル機関車である。
国鉄のディーゼル機関車として初めて量産され、昭和38年までに138両(0番台×65両/
500番台×73両)が製造されている。

車体は箱型で、後に登場するDD51形以降の凸形車体とは一線を画している。
塗装は当初がチョコレート色に細いイエローの帯、晩期が下がグレー、
上がオレンジで、その境に白の細帯が入るものになっている。
晩期には先頭部分に鉄板を貼り付けて、構造を強化したものもあった。

ディーゼルエンジンで発電し、モーターを駆動する電気式を採用している。
これは当時、液体変速機の技術が未発達だったためである。
エンジンはスイス・ズルツァー社製のものとドイツ・MAN社製のものとの2種類あり、
前者を0番台(1~65)、後者を500番台(501~573)と番号で分類されている。
このうち、1~7号機は量産先行型で、以降に生産されたものと、機器の配置などで
若干の差がある。

台車配置は2軸ボギー式台車(全て動力付き)を3つ配置した「B-B-B」で、
線路にかかる重量負担を軽減し、規格の低い路線でも運用が可能となっている。
中間台車は、通常構造のままだとカーブを曲がれないため、左右へのずれを
許容した構造となっている。
この構造は後のEF60形電気機関車以降の機関車に応用された。
モーターは6基搭載で、駆動方式は吊り掛け式である。

この他、客車への暖房供給のため、暖房用のボイラーを設置している。

通常、ここまでの重装備であると、重量過多となってしまうのだが、
車体の軽量化などで、レールへの負担を減らし、規格の低い路線でも運用が
可能であった。

本形式は、初めて長距離運行が可能な実用的ディーゼル機関車として、北海道を除く、
全国で特急から貨物まで幅広く活躍した。
特にトンネルの多い地方の路線では、蒸気機関車の煤煙から開放されたことで
乗務員、乗客双方から好評を得ている。

しかしながら、ディーゼル機関車として技術的に過渡期に生産されたこともあり、
多くの課題を残していた。
特に出力不足は深刻で、全軸駆動なので空転こそ少ないものの、勾配線区では
著しい速度低下を起こしたほか、平坦区間でも出力的な余裕は少なく、
走行性能的には蒸気機関車と差がなかった。

またパワーがない割りに、電気式で搭載機器が多く、ライセンス生産された
エンジンの搭載などで生産コストが高く、蒸気機関車を全て駆逐するまでの
大量生産には向かなかった。

昭和37年に強力な液体変速式ディーゼル機関車DD51形が登場し、量産化されると
本形式は徐々に地方の線区へと転用されていった。

昭和50年代に入ると電化が進行したことと、ディーゼルカーの投入が進んだことにより、
客車列車の運用が減ったことなどから、多くが廃車になった。

特急列車の牽引は昭和54年の日豊本線全線電化まで「富士」や「彗星」で行っていた。
最後まで残ったのは紀勢本線を走る寝台特急「紀伊」で同年まで運行された。
定期列車運用としては旅客が昭和56年(500番台はこの時点で全機引退)、
貨物が昭和58年で終了している。
最終運用は昭和58年9月に運行された臨時急行列車「さよならDF50土佐路」号を
1号機と65号機が牽引したもので、これを最後に全車引退となった。

引退後、1号機は、多度津工場に保管され、昭和58年に準鉄道記念物の指定を受けた。
昭和62年には車籍復帰を果たした。
平成19年より伊予西条駅隣接地に開館した四国鉄道文化館にて展示されている。
本機は現在も車籍を有するが静態保存のままである。

多度津工場には、この他に、繁藤駅で昭和47年7月に発生した土砂崩れ(繁藤災害。
繁藤駅周辺で発生した大規模な土砂崩れで、周辺で発生していた小規模な地滑りの
復旧作業をしていた作業員や停車中だった列車が巻き込まれ60名が死亡した)で
大破した45号機の製造銘板やナンバープレートが保管されている。
本機は現地で解体されたが、車体の一部は今も現地の川底に埋まっているという。

この他、4号機が大阪府の菅原天満宮公園に、18号機が同じく交通科学博物館に
保存されている。


運転台。ちなみに機関車と新幹線では、右がマスコン、左がブレーキになる。


助手席。機関やモーターの出力系のメーターなどがある。


運転台側の台車。


中間台車。左右にずれることが可能。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。