
老朽化の進んでいた関西私鉄の名車の一つとして知られる2200系や2250系などの
急行用車両の置き換えと輸送力改善のために登場した車両である。
昭和45年に2600系が4連×2本=8両と2連×2本=4両の計12両、昭和46年に2680系が
3連×2本=6両、昭和47年~昭和51年にかけて2610系が4連×17本=68両の合計86両が
製造された。
製造メーカーは近畿車輛である。
各形式の構成形式と編成の組み方は近鉄名古屋・大阪上本町側から順に以下の通り。
・2600系
4連:ク2700形+モ2650形+サ2750形+モ2600形
2連:ク2700形+モ2600形
・2680系
ク2780形+モ2680形(奇数車)+モ2680形(偶数車)
・2610系
ク2710形+モ2660形+サ2760形+モ2610形
車体は普通鋼鉄製で2400系と、ほぼ同じ裾絞りの無いスタイルの近鉄通勤形電車
標準車体を採用している。
このため、見た目の上では近鉄の他の一般車との差は少ない。
正面は貫通型でヘッドライトは正面上部左右、種別標識灯とテールランプは
正面下部左右にある。
行き先表示は当初、装備しておらず、行き先札を掲出するものであったが、
後年の改造で種別・行き先表示幕を正面中央上部と側面に装備している。
塗装は当初、近鉄マルーン1色、後に上半分が近鉄マルーン、下半分がホワイトの
塗り分けに変更された。
車内は扉と扉の間に4人掛けボックスシートを2組配置した
オールクロスシートであった。
2600系では扉付近に補助席を配置し、団体利用などでこれを使用するときは
扉の開放幅を700mmに抑える機能があった。
長距離運用(近鉄名古屋・大阪上本町から宇治山田方面などの急行列車など)にも
就くため、2600系のク2700形とサ2750型、2680系のク2780形、2610系のサ2760形には
トイレ(和式・貯蔵タンク式)が設置されている。
窓は一段下降式、扉は片側4ドアで全て両引き戸であり、既述の外観を含め、
導入当時は外観と内装の差に驚く客もいたという。
なお、平成元年に2680系と2610系はトイレ前の座席を除いてロングシート化
されたほか、2610系の一部はロングシートと回転クロスシートの双方に転換可能な
「L/Cシート」に改造されている。
主制御装置は抵抗制御でブレーキは抑速ブレーキ付発電ブレーキ併用電磁直通
ブレーキである。
2680系のものは10000系初代「ビスタカー」のものを流用している(制御器と
モーターのみ)。
台車は空気バネ台車で軸箱支持はシュリーレン式でモーターの駆動方式はWN式である。
なお、2610系の一部のク2710形とサ2760形では旧型車の台車を流用した
コイルバネ台車を使用している。
冷房は2680系より新造時から搭載しており、2600系も昭和54年に搭載した。
登場時は主に大阪線の長距離急行を中心に用いられ、大阪口の通勤輸送と伊勢方面への
観光輸送の両立を図った一般車として活躍した。
2600系は既述の通り補助席や扉の開放制限機能などを生かして団体運用でも
活躍した。
しかし、登場時こそ目を引いた4ドア・クロスシートの車内であるが、
座席間隔が狭く、通路側に肘掛の無いボックスシートは不評であり、大阪や名古屋から
伊勢方面に向かう場合のライバルが自家用車で快適さを求める客は料金を払って
特急を利用することから一般向けのクロスシート車が必ずしも必要でなくなってきたこと、
昭和63年には3ドア・転換クロスシートの5200系列がデビューしたことなどから、
2680系と2610系については平成元年より開始された更新改造により、
トイレ前の一区画を除いてロングシートへの改造を実施した。
また、これと前後して名古屋線に転属したものも少なくない。
平成8年と9年に2610系2621編成、2626編成、2627編成で座席の「L/C」化改造が
実施された。
これらは名古屋線所属車で並行するJR東海関西本線の快速列車「みえ」に対抗する
意味も含んでいる。
2600系はロングシート化改造を受けることなく、平成14年~15年にかけて
全車廃車され、形式消滅し、2680系も平成14年に第1編成が廃車されている。
その一方で2680系第2編成は平成13年に鮮魚電車に改造された。
鮮魚電車は宇治山田の漁協が他のお客に迷惑にならないように電車を貸し切って
鮮魚を関西方面に輸送する電車のことで昭和38年より運行されているものである。
鮮魚電車化に伴い、塗装を近鉄マルーンに正面にクリーム色の帯を入れた
専用色に変更している。
2610系は全車健在で平成12年より、初期車を中心に再度の車体更新を実施している。
主な内容は車椅子スペースの設置、連結部への転落防止幌の設置、トイレ前の
ボックスシートの改良、一部窓の一枚固定化、一部車両が使用していた
金属バネ台車の空気バネ台車への交換などである。
L/C車の2621編成ではロングシート部分にも設置していたヘッドレストを撤去した。
現在も大阪線や名古屋線の急行列車の主力の一端を務めるが、後継車の導入で
準急や普通でも運用されるようになっている。

○近鉄名古屋駅で発車を待つ「L/C」車に改造された2627編成。
急行用車両の置き換えと輸送力改善のために登場した車両である。
昭和45年に2600系が4連×2本=8両と2連×2本=4両の計12両、昭和46年に2680系が
3連×2本=6両、昭和47年~昭和51年にかけて2610系が4連×17本=68両の合計86両が
製造された。
製造メーカーは近畿車輛である。
各形式の構成形式と編成の組み方は近鉄名古屋・大阪上本町側から順に以下の通り。
・2600系
4連:ク2700形+モ2650形+サ2750形+モ2600形
2連:ク2700形+モ2600形
・2680系
ク2780形+モ2680形(奇数車)+モ2680形(偶数車)
・2610系
ク2710形+モ2660形+サ2760形+モ2610形
車体は普通鋼鉄製で2400系と、ほぼ同じ裾絞りの無いスタイルの近鉄通勤形電車
標準車体を採用している。
このため、見た目の上では近鉄の他の一般車との差は少ない。
正面は貫通型でヘッドライトは正面上部左右、種別標識灯とテールランプは
正面下部左右にある。
行き先表示は当初、装備しておらず、行き先札を掲出するものであったが、
後年の改造で種別・行き先表示幕を正面中央上部と側面に装備している。
塗装は当初、近鉄マルーン1色、後に上半分が近鉄マルーン、下半分がホワイトの
塗り分けに変更された。
車内は扉と扉の間に4人掛けボックスシートを2組配置した
オールクロスシートであった。
2600系では扉付近に補助席を配置し、団体利用などでこれを使用するときは
扉の開放幅を700mmに抑える機能があった。
長距離運用(近鉄名古屋・大阪上本町から宇治山田方面などの急行列車など)にも
就くため、2600系のク2700形とサ2750型、2680系のク2780形、2610系のサ2760形には
トイレ(和式・貯蔵タンク式)が設置されている。
窓は一段下降式、扉は片側4ドアで全て両引き戸であり、既述の外観を含め、
導入当時は外観と内装の差に驚く客もいたという。
なお、平成元年に2680系と2610系はトイレ前の座席を除いてロングシート化
されたほか、2610系の一部はロングシートと回転クロスシートの双方に転換可能な
「L/Cシート」に改造されている。
主制御装置は抵抗制御でブレーキは抑速ブレーキ付発電ブレーキ併用電磁直通
ブレーキである。
2680系のものは10000系初代「ビスタカー」のものを流用している(制御器と
モーターのみ)。
台車は空気バネ台車で軸箱支持はシュリーレン式でモーターの駆動方式はWN式である。
なお、2610系の一部のク2710形とサ2760形では旧型車の台車を流用した
コイルバネ台車を使用している。
冷房は2680系より新造時から搭載しており、2600系も昭和54年に搭載した。
登場時は主に大阪線の長距離急行を中心に用いられ、大阪口の通勤輸送と伊勢方面への
観光輸送の両立を図った一般車として活躍した。
2600系は既述の通り補助席や扉の開放制限機能などを生かして団体運用でも
活躍した。
しかし、登場時こそ目を引いた4ドア・クロスシートの車内であるが、
座席間隔が狭く、通路側に肘掛の無いボックスシートは不評であり、大阪や名古屋から
伊勢方面に向かう場合のライバルが自家用車で快適さを求める客は料金を払って
特急を利用することから一般向けのクロスシート車が必ずしも必要でなくなってきたこと、
昭和63年には3ドア・転換クロスシートの5200系列がデビューしたことなどから、
2680系と2610系については平成元年より開始された更新改造により、
トイレ前の一区画を除いてロングシートへの改造を実施した。
また、これと前後して名古屋線に転属したものも少なくない。
平成8年と9年に2610系2621編成、2626編成、2627編成で座席の「L/C」化改造が
実施された。
これらは名古屋線所属車で並行するJR東海関西本線の快速列車「みえ」に対抗する
意味も含んでいる。
2600系はロングシート化改造を受けることなく、平成14年~15年にかけて
全車廃車され、形式消滅し、2680系も平成14年に第1編成が廃車されている。
その一方で2680系第2編成は平成13年に鮮魚電車に改造された。
鮮魚電車は宇治山田の漁協が他のお客に迷惑にならないように電車を貸し切って
鮮魚を関西方面に輸送する電車のことで昭和38年より運行されているものである。
鮮魚電車化に伴い、塗装を近鉄マルーンに正面にクリーム色の帯を入れた
専用色に変更している。
2610系は全車健在で平成12年より、初期車を中心に再度の車体更新を実施している。
主な内容は車椅子スペースの設置、連結部への転落防止幌の設置、トイレ前の
ボックスシートの改良、一部窓の一枚固定化、一部車両が使用していた
金属バネ台車の空気バネ台車への交換などである。
L/C車の2621編成ではロングシート部分にも設置していたヘッドレストを撤去した。
現在も大阪線や名古屋線の急行列車の主力の一端を務めるが、後継車の導入で
準急や普通でも運用されるようになっている。

○近鉄名古屋駅で発車を待つ「L/C」車に改造された2627編成。