水の丘交通公園

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近江鉄道 LE-10形気動車

2012-05-16 17:47:42 | 保存車・博物館
閑散区間の電力供給コストの削減とワンマン列車による運用の合理化のために登場した車両である。
昭和61年にLE-11~LE-15の5両が製造された。
製造を担当したメーカーは富士重工である。
単行運転を前提としており、決まった編成は組まない。

車体は普通鋼鉄製でメーカーの富士重工が当時開発し、国鉄赤字ローカル線を引き継いだ
第三セクター鉄道などで導入されていた次世代型レールバス「LE-carⅡ」に準拠した仕様と
なっている。
そのため、バスの車体設計や機器を使っており、ひじょうに軽量であることが特徴の一つと
なっている。
正面は貫通型でヘッドライトと尾灯は角形のユニット式のものを左右下部に設けたほか、
正面下部にはスノープロウを設けて冬季の降雪対策も施している。
車体の塗装はオレンジに近いイエローにグレーと赤の帯を巻いたものとなっている。
行先表示は正面の貫通扉下部の窓から他の電車で使っているものと同じ方向板を表示する
方式である。

車内は全座席ロングシートで側面窓はすべて2段式である。
ドアは片側両端に2か所あり、いずれもバスのものと同じステップ付2枚折り戸となっている。
なお、本形式はバス用エアコンを搭載しており、近江鉄道では初めての冷房車となった。

機関は日産ディーゼル(UDトラックス)のPE6HT-03形直噴式水平型ディーゼルエンジン×1基で
出力は230ps/1900rpm。変速方式は液体変速式である。
ブレーキはSLE式三管式直通ブレーキで応荷重装置、保安ブレーキ、手ブレーキを備える。
台車は1軸式で車体とはリンクで繋がったダイレクトマウント式空気ばね台車を採用し、
LEカーとして2軸単車で登場した最後の車両となった。

記述の通り、全線直流1500Vで電化されている近江鉄道各線のうち、特に輸送密度の薄い
八日市~貴生川間で運用を開始した。
近江鉄道では本形式の運用開始に伴い、日野駅に専用の給油スタンドと車庫を建設している。
日中の同区間の送電を止めて電力の車両運用の効率化が進んだかに見えたが、車体が小さすぎて
ラッシュ時の運用に就けないこと、車体があまりにも軽く踏切が正常に作動しないことなどの
トラブルが相次ぎ、結局、電車を運用せざるを得なくなってしまった。
また、踏切を正常作動させなければならない関係で常時重連での運用を余儀なくされ、
帰って運用コストがかかる結果となってしまった。
このため、近江鉄道では西武鉄道から払い下げた701系電車の車体と手持ちの車両の部品を
組み合わせて誕生させたモハ220形電車を自社工場にて製造し、本形式は平成8年までに
営業運転から撤退した。
置き換えの途上ではモハ220形との連結運転も行われた。
その後は沿線各所で車籍を有したまま放置されたが、平成16年に廃車となった。
廃車後、LE-11、-12、-14、-15の4両が解体処分されたがLE-13は彦根車庫に保存され、
近江鉄道ミュージアムにて定期的に公開されている。
平成23年現在、同年3月11に発生した東日本大震災で被災した三陸鉄道を応援するメッセージを
駅舎側車体側面に掲示して留置されている。


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