水の丘交通公園

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国鉄 DD53形ディーゼル機関車

2012-03-05 14:44:34 | 保存車・博物館
日本海側の湿った重たい雪に対応可能なロータリー除雪車として、またシーズン外は客車列車牽引に
使用できる機関車として開発された車両である。
昭和40年に2両、昭和42年に1両が其々汽車会社にて製造された。

線路の周囲にたまった雪を寄せ集めてロータリーで掻き込み、線路の外へ跳ね飛ばす
ロータリー式除雪車としては既にDD14形機関車が導入されていたが、もともとエンジン出力が
大きくないDD13形ディーゼル機関車をベースにしていた関係で、本州での運用には難があった。
そこでより強力な本線向けのDD51形ディーゼル機関車をベースにして開発されている。

車体はロータリーヘッド(ロータリー式除雪装置)と機関車本体で構成され、
いずれも普通鋼鉄製である。
機関車は車体は箱型となっているものの搭載している機関などはDD51形ディーゼル機関車と同じ
ものを2基搭載している。
車体が箱型になった理由はロータリーを駆動させるためのドライブシャフトを機関車本体から
伸ばすためである。
塗装は他のディーゼル機関車と同じ朱色に白帯である。

搭載されているエンジンはDML61Z-R形2基で出力は1100ps×2である。
変速方式は液体変速式で各エンジンは独立したトルクコンバータに接続され、動力は1つに
統合された後、2つの台車を駆動する構造となっている。
また、ロータリーへ動力を振り分けるための切り替え装置もあり、片方のエンジンを走行用、
もう片方のエンジンを除雪用としたり、2基とも除雪用に振り向けて別の機関車に押してもらう
推進運転を行うことも可能である。
なお推進運転を行う際の動力となる機関車はDE10形、DD13形、DD16形で専用の推進用機関車として
DD20形2号機が開発されたがこちらは試作段階で失敗しており、ほとんど併用されずに
終わっている。
ブレーキは空気自動ブレーキで客車との連結運転も可能であるが、冬季は除雪用となる関係で
蒸気暖房発生装置は搭載していない。

元々ロータリー除雪車は沿線へ雪を跳ね飛ばしていくため、電線を切断したり、民家の敷地に
雪を飛び込ませることが多々あったが、本形式は従来のものよりも出力が大幅に大きくなった
ため、
沿線の民家の壁や窓ガラスを破壊したり、家の中にあったピアノすら破壊したという
伝説が残されている。
このため後年まで現役であった2・3号機は投雪方向を確認しやすいように運転席の移設改造を
実施している。

配置は全車新潟地区であったが、1号機が早々に旭川機関区に転属し昭和51年には新庄機関区へ
移動している。
北海道の旭川では雪質の違いから除雪車として運用されるよりも機関車としての運用の方が
多かったという。
新庄に戻ってきてからも稼働率は低く昭和61年で廃車となった。
2号機と3号機は新潟に留まり、昭和62年の民営化後はJR東日本に引き継がれた。
どちらも上越線などで使われたが3号機は平成13年に廃車となった。
2号機はその後もしばらく残され、イベント列車の牽引などでも用いられたが平成22年に廃車と
なった。
廃車後、1号機が碓氷峠鉄道文化むらに保存展示されている。


○機関車側から。


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