水の丘交通公園

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東京地下鉄 9000系電車

2011-03-07 00:01:32 | 電車図鑑・地下鉄
帝都高速度交通営団(以下:営団)が南北線開業用に導入した車両である。
平成2年~平成21年までに6両編成×23本=138両が製造された。
製造を担当したメーカーは川崎重工、東急車輛、日本車輛である。
編成の組み方については別途記載するため、ここでは割愛する。

■概説■
車体はアルミ製で、デザインは当時、各路線の旧型車を置き換えていた「0」シリーズに
準拠するものであるが、新線路線の最初の車両である為、「9000系」という呼称に
なっている。
先頭部分は側面まで窓が回り込んだ流線型で視界を確保している。
車体は無塗装で正面から側面にかけてラインカラーであるエメラルドグリーンの帯が
入れられる。
行き先表示は字幕式とLED式の2種類が存在したが、現在は全てLEDになっている。
また、初期の車両では正面のみで側面は準備工事とされたが、こちらも現在までに
本格的に使用している。

車内は初期に登場した車両は車端部に4人向き合わせのボックスシートを有する
セミクロスシート配置、他はオールロングシートである。
営団の車両でクロスシートを有する車両は本形式が最初で、東京メトロとなった
今日まで現れていない。
また、初期車では車椅子スペースに折りたたみ式の座席を設置していたが、
後期の車両では通路幅を拡大した関係でこちらも現在までに撤去されている。
側面窓は1段下降式、ドアは4箇所、両引き戸である。
各ドア上部には車内案内表示機を装備している。

主制御装置はVVVFインバータ制御で営団の車両では始めて本格的に採用した。
初期車はGTO式、それ以降はIGBT式で走行音が異なる。
ブレーキはATO連動回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキである。
ATOとは自動列車運転装置(Automatic Train Operation)のことである。
運転台はT字型ワンハンドルマスコンでATOによるワンマン運転を行う関係で
搭載機器が増えたため、スペースを広くとっている。
また、営団の車両では初めてTIS(列車情報管理装置)を装備し、車両の故障対処や
各種乗務員支援のためのガイダンス機能を充実させている。

以上が本形式の概説である。本形式は23本と東京メトロの車両の中では
比較的小ぢんまりとした編成数であるが、編成の成り立ちによる違いが大きいため、
以下で解説する。

■9101編成(試作車)


平成2年に4両編成1本が製造された。登場時の編成の組み方は以下の通り。
・9101+9201+9301+9801
車内は車端部片方に4人向かい合わせのクロスシートを設置し、
他をロングシートとしたセミクロスシート配置である。
本編成ではシートの色を2色(パープル系とオレンジ系)、シートの形状も
バケットシートながらを4両ともで方式を変えて、評価試験を行った。
また、窓枠にFRPを採用し、袖仕切りやドア付近の手すりがベージュで
着色され、金属的な色を極力避けているのも特徴の一つである。
車椅子スペースは当初、9300形に設置しており、折りたたみ式の座席を2人分
設置していた。
車内案内表示機は2段式のLEDスクロール方式のものを各ドア上に設置している。
行き先表示は登場時が正面のみの字幕式であった(側面は準備工事のみ)。
主制御装置は三菱電機製のGTO式VVVFインバータ制御装置で台車は03系や05系で
採用されたものをベースに曲線通過性能を向上させたボルスタレス式の
ダイレクトマウント式空気バネ台車(軸箱支持はSUミンデン式)を採用している。
開業まで千代田線綾瀬工場にて各種試験運転を行い、平成3年7月に王子神谷駅隣接の
王子検車区に搬入され、平成3年11月の南北線開業と共に営業に就いた。
平成8年の南北線6連化の際、後述の1次量産車である9202+9302を組み込んで
9601+9701とした。この2両は同じGTO式VVVFインバータ制御車であるが、
制御装置のメーカーが日立製であり、本編成は2種類の走行音を同時に楽しむ
ことができる。
現在の編成は以下の通り。
・9101+9201+9301+9601(←9202)+9701(←9302)+9801

後年、行き先表示のLED化と側面行き先表示機の使用開始、車椅子スペースの
補助席の撤去、9300形車椅子スペースへの座席設置と9200形への車椅子スペース設置、
床面・座席などの張り替えなどの改造を受けている。
基本的に他の編成と混用で運行されているが、何かしらの試験運転では本編成が
用いられることが多い。


○上が試作車で下が量産車。帯の入り方が異なる。

■9102~9108編成(量産1次車)


試作車の試験結果を受けて平成3年に4両編成×6本(9102~9107編成)、
平成4年に4両編成×1本(9108編成)が製造された。
登場時の編成は以下の通り(9102編成)。
・9102+9202+9302+9802・・・(以下9108編成まで同じ)
車内は試作車のものに準拠するが、手すりが無塗装になり、座席は個別式から
一体型のバケットシートに改められた。
シートモケットはパープル系に統一されている。
主制御装置は9102~9104編成が日立製、9105~9108編成が三菱製のGTO式
VVVFインバータ装置を採用している。
試作車の項で述べたとおり、平成8年の四ツ谷延伸の際に6両編成に組み替えられ、
奇数編成にGTO車、偶数編成にIGBT式制御装置を持つ新造の中間車を組み込んだ。
内容を一覧にすると以下の通りになる。
・9102+「9202+9302+9602+9702※」+9802 
※:「」内は新造車。9102、04、06、08編成が該当。
・9103+9203+9303+9603(←9204)+9703(←9304)+9803
・9105+9205+9305+9605(←9206)+9703(←9306)+9805
・9107+9207+9307+9607(←9208)+9703(←9308)+9807
試作車と同じく行き先表示のLED化、車椅子スペースの移設と補助席の撤去、
床面などの張り替えなどの改造を受けている。

■9102・9104・9106・9108編成中間車と9109~9115編成(2~3次量産車)



南北線駒込~四ツ谷間及び四ツ谷~溜池山王間延伸と、それに伴う6連化のため
増備されたグループである。
平成7年~9年にかけて中間車のみ4両×4本=16両と6両編成×7本=42両の58両が
製造された。
外観は変わらないが車内貫通路を車椅子が通過できる幅に拡大したため、車端部の
クロスシートが廃止されてオールロングシートとなり、車椅子スペースが9200形と
9700形に統一された。
また、車椅子スペースの補助椅子も同様の理由で廃止された。
座席では肘掛の形状が網棚まで一体の「コ」の字型から丸っこい小型のものになり、
窓枠のFRPカバーも廃止され、車内材質を統一して廃車時のリサイクル性を向上
させている(FRPカバー付きの編成も東急直通対応時にロールカーテン取り付けのため、
通常のアルミ枠に変更)。
主制御装置はIGBT式のVVVFインバータ制御装置となり、走行時の騒音が大幅に
低減された。
台車も06系、07系の運用実績を踏まえ、軸箱支持方式をモノリンク式に変更した
ボルスタレス台車となった。
行き先表示は当初よりLED式である。
編成の組み方は以下の通り(9109編成)。
・9109+9209+9309+9609+9709+9809
※以下、9121編成まで同じ。

■9116編成~9121編成(4次量産車)


南北線溜池山王~目黒間延伸開業に伴い増備されたグループである。
車体は基本的に変更は無いが、外板の溶接方法を一部変更して見た目の向上を
図った。
車内はロングシートで、肘掛を仕切り状に大きくしたものに変更した他、
座席下の蹴り込み部分を縮小している。
客用ドアや連結部のドアは本体のリサイクルが可能なように、化粧板の取り外しが
できるものとした。
その他、床材の模様などが変更されている。
行き先表示は3次車と同じLED式であるが、側面のものを最初から運用している。
また、地上線走行のためのカーテンも新造時より設置している。
主制御装置はIGBT式のVVVFインバータ制御で変更は無いが、当面は6両編成で
運用することになったことから、9300形と9600形の互いの連結面の台車の
モーターを準備工事に留めて電動車比率を4M2Tから3M3Tに引き下げて
動力軸の分散化を図った。
運転台ではホーム監視の車上監視化のためのモニターを設置し、東急用の保安装置も
最初から搭載している(他の編成も同様に改造)。

■9122編成・9123編成(5次量産車)


東急目黒線武蔵小杉~日吉間開通に伴い、平成21年に6両編成×2本が増備された
ものである。
9年ぶりの増備となったため、副都心線・有楽町線用の10000系電車をベースに
大幅に設計が変更された。
このため、「新9000系」と称されることもある。
正面デザインは元のデザインをベースにしながらもライトケースの形状変更、
スカート設置など「新車」であることを全体にアピールするものとなった。
車内はロングシートで片持ち式のバケットシートに変更され、袖仕切りの形状も
変更されている。
各ドア上部の旅客案内装置はLED式から液晶画面に変更された。
この他、火災時に有毒ガスを発生させるFRPや塩化ビニルの使用を取りやめ、
安全性の向上を図った。
主制御装置についてはIGBT式VVVFインバータ制御であるが、ベクトル制御が
可能となったほか、ブレーキが純電気ブレーキ対応となるなどの変更が
なされた。
また、台車はボルスタ付きのダイレクトマウント式空気バネ台車に変更され、
乗り心地と走行安定性の向上が図られている。
編成では9300形の代わりに新規に簡易運転台付の中間付随車9400形が連結され、
完全に電動車比率を3M3Tとした。
編成の組み方は以下の通り(9122編成)
・9122+9222+9422+9622+9722+9822

現在は全ての編成が6両編成で運行されているが、将来は8両編成にすることが可能に
なっている。


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