水の丘交通公園

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東京地下鉄 7000系電車

2012-02-03 23:47:56 | 電車図鑑・地下鉄
東京メトロの前身である帝都高速度交通営団(以下、営団)が、有楽町線開業用に導入した車両である。
昭和49年~平成元年まで、340両(10両編成×34本)が製造された。
製造を担当したメーカーは日本車輛、東急車輛、川崎重工、近畿車輛である。
編成の組み方は新木場・渋谷方面側より以下の通りとなっている。

10連:7100形+7200形+7300形+7400形+7500形+7600形+7700形+7800形+7900形+7000形

5連(開業時):7100形+7700形+7800形+7900形+7000形

8連(副都心線用):7100形+7300形+7400形+7500形+7200形+7900形+7800形+7000形

このうち電動車は7300形、7400形、7700形、7800形、7900形、7000形で主制御装置を
百の位が奇数の車両に電動発電機とエアコンプレッサーを同じく偶数の車両に搭載し、
7500形と7600形の連結面にはヘッドライトを付けた簡易運転台を設置している(製造時)。
なお、副都心線開業に伴う大規模な改造で現在は一部改造が加えられているため、
この限りではない(後述)。

車体デザインや内装などは、当時、営団の標準車として位置づけられていた千代田線の
6000系電車と同等のアルミ車体を採用した。
違いは先頭車の非常用脱出扉上部と各車新木場寄りの側面連結側に乗り入れ先での
優等列車運用を考慮して種別表示用の小窓を準備していること(ただし、先頭車は
行き先表示のみ)、上記に関連して側面の行き先表示が連結側に寄った事、
車体の帯色が路線カラーであるゴールドになった等である。
行先表示は字幕式で記述の通り、各車車端部と正面に設置されている。

車内はオールロングシートで本形式と同時期に製造された6000系量産車と同様のレイアウトを
採用している。
6000系の特徴でもあったきのこ型の広幅貫通路を採用しているが、7700形と7800形の間だけ、
吹き抜け防止のため、通常型の狭い幅で扉付きのものとしている。
なお、後述するが、営団成増~池袋間開業時に増備された中間車と7121編成以降は
全車狭幅になった。

主制御装置はAVF(自動可変界磁)チョッパ制御で、6000系で採用された電機子チョッパよりも
熱損失が少なく、走行性能が向上し、回生ブレーキの使用可能領域も広がった。
ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキである。
台車は6000系と同じ軸箱支持をSUミンデン方式とした空気バネ台車で、モーターの駆動方式は
WN駆動方式となっている。
運転台はツーハンドルで、キャブシグナル(CS)式ATC搭載している。

本形式は製造時期や改造による違いが比較的大きいのと大規模な改造を実施しているため、以下に整理してまとめた。

●1・2次車(7001~7020編成のうち、有楽町線用10連の2~6号車以外に相当)

有楽町線開業用に5連19本が製造された車両である。2次車の7020編成は
銀座一丁目~新富町間が開業した昭和55年に追加されたもので前19本との
違いはない。
行き先表示は日本語のみの字幕式であった。
化粧板は少し暗いクリーム色、袖仕切りは木目調の板状のものが床面まで
伸びたもので、車内貫通路もきのこ型であるが、7700形と7800形の間だけ吹き抜け防止のため、
通常幅の貫通路とされた。
冷房は搭載されておらず、扇風機が取り付けられていた。側面窓は上下幅の狭い2段式で客用扉の窓も小型である。
昭和58年に3次車を2号車~6号車に挟み込んで10連化されている。
平成5年以降、冷房化を実施し、扇風機を小型化、冷風ダクトを天井に通している。
平成7年からは、更新改造を受け、側面窓の窓が1段下降式になったほか、客用ドアの窓が少し大きくなったほか、
一部編成では主制御装置のVVVFインバータ化が実施された。


○1次車該当の7109編成。平成7年以降に実施された更新改造後の姿。


左が1次車で右が3次車。この編成は貫通路が狭幅化されている。


○1次車の特徴であるきのこ型貫通路を備えた車内。3次車とはリニューアルの時期が異なった関係で内装がちぐはぐになった
 編成も多く存在している。

●3次車(1・2次車の2~6号車と7021~7026編成に相当)
有楽町線の池袋~営団成増間延伸開業に伴い昭和58年に増備されたグループである。
半蔵門線8000系電車の設計思想を採り入れて、側面窓が上下幅の広い1段下降式になったのと、扉の窓もわずかに拡大されたのが特徴。
1・2次車にも組み込まれたが窓の大きさや方式の違いから今日まで編成美を大きく崩している。
車内では袖仕切りの板が座席の少し下で切れたものとなったほか、車内間通路全てが狭幅化され、
扉付きとなった(内装の色は一緒)。
座席についても一人ずつの着席区分が織り込まれたものになっている。
このグループから冷房準備車となり、車内の送風機がラインデリアになった。このため、屋根周りの形状も違っている。
この他、チョッパ制御器の冷却方式がブロア式からフロン沸騰式に変更されている。
このグループは、副都心線開業後、車両運用の見直しから、1・2次車で中間車となっている車両の一部を除き、
平成22年までに全車廃車されている。


○西武池袋線を行く7123編成。3次車としては最後まで残った編成の一つで廃車後、インドネシアへ渡っている。
 正面向かって左の窓の「Y」のマークは有楽町線専用車を示すもの。
 西武鉄道6000系電車や東武鉄道9000系電車でも副都心線対応改造前の車両で判別しやすいように
 貼られていたが平成22年ごろには消滅している。

●4・5次車(7027~7032編成に相当)
有楽町線の営団成増~和光市間延伸と東武東上線との直通運転開始に伴い、昭和62~63年に登場したグループ。
4次車は7027編成のみで、7028~7032編成は5次車となる。
7027編成は7021編成以降と同じく非冷房が無かったが、7028編成から冷房付きになり、営団最初の冷房車になった。
また、内装のカラーが木目を強調したものから01系などと同じく白を基調とした清潔感のあるものに変更された。



○志木駅の留置線で並ぶ7115編成(1次車)と7128編成(5次車)。7128号車は車番の位置が少し異なる変形車。

●6次車(7033・7034編成に相当)
有楽町線の新富町~新木場間延伸開業に伴い、平成元年に登場。本形式最後の増備車である。
基本的に5次車と同じであるが、行き先表示幕にローマ字併記のものを採用したほか、車外スピーカー、
自動放送装置、LEDスクロール式旅客案内装置、ドアチャイムなどを新製時より装備しており、日比谷線の03系や
東西線の05系(初期車)の設計の影響を受けている。
機構面では母線引き通しを当初より実施しており、7000形に
7034編成の和光市側先頭車7034号車はバケットシートの試験車になっていた。
平成18年ごろになり、座席の張替えが行われた際も、形状の違うバケットシートに交換されている。


○7034編成外観。窓の上の四角いグリル状のが車外スピーカー。


○7034のドア周り。わかりにくいが奥右の座席もバケットシートである。


○副都心線対応化後の7134編成。なお、7127編成から当編成までの全編成で副都心線開業に伴う改造で
 8連化が実施されている。

●更新・改造
平成7年~13年頃にかけて1・2次車を対象に大規模な車体更新改造を実施している。
主な内容は、2段窓の1段化、客用扉の窓の拡大、自動放送装置の取り付け、
2・9号車への車椅子スペース設置(平成8年ごろから)、主制御装置のVVVFインバータ制御化(IGBT式・平成8年以降)、
内装の張替え、客用ドア上へのLEDスクロール式旅客案内装置取り付けなどである。
3次車も同時期に改造を受けているが、比較的、新しかったこともあり、床の張替え(フットライン化)、座席の張替え程度で
済ませている。
また、平成6年の西武池袋線への直通開始に伴い、全編成で行き先表示のLED化を行っている。
この改造で種別と行き先をいっぺんに表示できるようになったことから、種別表示窓は結果的に使われなくなった。

●副都心線開業対応と今後
平成20年の副都心線開業に対応するため、多くの編成で大規模な改造が行われている。
4~6次車は更新改造も兼ねている。
主な内容は、8両編成化(一部編成を除く)、主制御装置のVVVFインバータ制御化(IGBT式。既に実施済みの編成は機器を交換)、
7000形の電装解除と制御車化、回生ブレーキの純電気ブレーキ化、ドア上部への旅客案内装置設置(LEDスクロール・2段式。
既設の7133・7134編成は機器の交換)、内装の全面張り替え、座席張替え(一部編成は未施工)、1・2次車のきのこ型貫通路車の
貫通路の狭幅化及び扉設置、車いすスペース設置、扉交換(7127~7134編成で実施)、運転台のワンハンドル化及び副都心線用
ATO・ホームドア対応に伴う各種装置の設置、行先表示機の交換、帯色の変更(ゴールド→ブラウン+ゴールド+ホワイト)などである。
これに伴い、8連化で余剰となった中間車2両のほか、3次車だけで組まれた7121編成~7126編成と車体更新後も
チョッパ制御のままだった1次車編成や方式の異なるVVVF制御を採用していた編成を中心に廃車が発生している。
当初計画では有楽町線専用編成を作ってもう少し本数が残される予定であったが、ダイヤ混乱時に不具合が生じた関係で
有楽町線と副都心線のどちらも走行可能な10000系が追加増備されている。
廃車となった車両のうち、7117編成、7121~7123編成はインドネシア・ジャボタベックに譲渡されて再起している。



○10連のまま副都心線対応化された第1編成。


○8連化された19編成。


○同じく8連化された32編成。客用ドアの窓が拡大されている。



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