麗しの枕草子物語
素敵な女蔵人
村上の御時のことでございます。
とても知性豊かな女蔵人がいらっしゃいました。兵衛の蔵人と呼ばれていたお方ですが、その才知は帝にも可愛がられていたそうでございます。
ある時のこと、その兵衛の蔵人が帝のお供をしていまして、殿上の間に立ち寄られたところ、たまたまどなたもおられなかったのですが、部屋の中の角火鉢から煙が立ち昇っていました。
「あれはどうしたのか、見て参れ」
と命じられた兵衛の蔵人は、角火鉢に駆け寄り、見届けてから戻って参り、
『わたつ海の おき(沖・燠=炭火)にこがるる(漕ぐ・焦げる) もの見れば
あまの釣して かへる(帰る・蛙)なりけり』
と、お答え申し上げたそうです。
実にしゃれたものですわねぇ。蛙が火鉢に飛び込んで、焼けていたんですって。
(第百七十四段・村上の先帝の御時に、より)
素敵な女蔵人
村上の御時のことでございます。
とても知性豊かな女蔵人がいらっしゃいました。兵衛の蔵人と呼ばれていたお方ですが、その才知は帝にも可愛がられていたそうでございます。
ある時のこと、その兵衛の蔵人が帝のお供をしていまして、殿上の間に立ち寄られたところ、たまたまどなたもおられなかったのですが、部屋の中の角火鉢から煙が立ち昇っていました。
「あれはどうしたのか、見て参れ」
と命じられた兵衛の蔵人は、角火鉢に駆け寄り、見届けてから戻って参り、
『わたつ海の おき(沖・燠=炭火)にこがるる(漕ぐ・焦げる) もの見れば
あまの釣して かへる(帰る・蛙)なりけり』
と、お答え申し上げたそうです。
実にしゃれたものですわねぇ。蛙が火鉢に飛び込んで、焼けていたんですって。
(第百七十四段・村上の先帝の御時に、より)
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