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雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

出でずして天下を知る ・ ちょっぴり『老子』 ( 53 )

2015-06-19 11:14:24 | ちょっぴり『老子』
          ちょっぴり『老子』 ( 53 )

              出でずして天下を知る

出でずして天下を知る

「 不出戸知天下、不窺牅見天道。其出彌遠、其知彌少。是以聖人、不行而知、不見而名、無爲而成。 」
『老子』第四十七章の全文です。
読みは、「 戸を出でずして天下を知り、牅(ヨウ・窓)より窺わずして天道を見る。其のいずることいよいよ遠ければ、其の知ることいよいよ少なし。ここを以って聖人は、行かずして知り、見ずして名(アキラ・明が正しいか?)かに、無為にして成る。 」
文意は、「 (道を体得している人は)戸の外に出ることなくして天下の情勢を知り、窓から外を窺わないでも天道を見ることが出来る。(世人は、知見を高めようと走り回るが)外に出ることが遠ければ遠いほど、真実はますます少なくなっていく。従って、聖人は、清静を保って、何処へも行くことなく外の様子を知り、直接見なくとも明らかに察知し、特別な策を弄すことなく事を為すのである。 」

『道』を体得している人は、居ながらにして天下の情勢を知るとが出来る、ということなのでしょうが、この章では『道』を体得している人の素晴らしさとともに、あくせくとつまらない学問などに励んでいる人を揶揄しているような気もします。

『道』は難しすぎる

現在の私たちがこの文章の最初の部分を見ますと、まるで、名軍師か陰陽師のような人物を連想してしまいます。
もしかすると、その種の人物はこの文章あたりからネタを得たのではないかと疑ってしまうのですが、『老子』もこの部分は、すでに伝承されていた事ではないかという研究者もあるようです。

「聖人は居ながらにして天下を知り、凡人は走り回ってますます真実から遠のいていく」というのはなかなか厳しい指摘ですが、では、どうすれば良いのかとむくれてしまいそうなのですが、きっと『老子』先生は、『道』を極めなさいというのでしょうが、さて、そう言われましてもねぇ・・。

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