隣国との関係が厳しさを増しています。
「輸出管理上の問題からの措置だ」「徴用工問題に対する報復だ」と意見は対立、共に表向きの主張の後ろに見え隠れしているものがあるのはも承知の上での対立なのでしょう。
ただ、その見え隠れしているものの数々は、お互いに承知しているようで案外知っておらず、いわんや、その重要さや痛みは、自分の感覚でしか理解していないのではないでしょうか。
両国の実務者が会った場も、その位置付けに大きな差があり、交わされた意見さえも両国間で差異が出るとなれば、相当重症と考えねばならないのではないでしょうか。
わが国側の対応にも問題指摘される部分があるとしても、ここまでこじれると、長期戦を覚悟する必要がありそうです。
今回の騒動の中で、「知らなかったなあ」と思うことが幾つかありました。
まず、「ホワイト国」についてです。アジアでただ一つこの隣国だけが選定されていることでした。安全保障上の問題もあるでしょうし、これまでの経済上の問題もあるでしょうし、政治家の思惑もあったのではないかと考えたりするのですが、少々違和感を感じました。
もう一つは、今回対象となっている工業製品についてです。このぐらいのことで大騒ぎするほどの物が、わが国にあったことに安心感を感じるとともに、「知らなかったなあ」と思いました。
少し前に、レアメタルやレアアースを禁輸されるのではないかという話がありました。現時点でも、原油や食糧など、世界規模の騒動が勃発した場合には、わが国の泣き所となる部分が数多くあるのでしょうが、私たちは、その実態をほとんど知りません。あるいは、積極的に「知らないこと」にしているのかもしれません。
折から、参議院選挙の真っただ中です。
各党首や、有力議員などの意見が、テレビなどを通して伝えられてきます。
いつもは適当に投票していた感もあるのですが、今回は、新聞の選挙公報で、各党の主張、当地の選挙区立候補者、比例代表立候補者、これら全員の記事や写真をじっくり拝見しました。
短い記事で、それぞれの主張や人柄などを承知することなど不可能といえますが、「知らないまま」で投票するのと、「知っているつもり」になって投票するのと、どちらが正解に近付けるのでしょうね。
そして、これほどすばらしい意見をお持ちの方ばかりなのに、当選者の中から、きっととんでもない人が何人かは登場してくるのでしょうから、そのメカニズムがどうなっているのか、「知らない」のですよねぇ。
『 時間とは何かと尋ねられなければ、誰でもそれを知っている。しかし、時間とは何かと尋ねられると、誰もそれを知らない。 』
これは、思想家であるアウグスティヌスの言葉だそうですが、思わず、うなずいてしまいます。そして、この「時間」の部分に入れることが出来る「事象」などは、幾つもあるように思うのです。
私たちは、世の中の事すべてを知ることなど出来ないことですが、知っていると思っていることが、案外正鵠から外れていたり、自分に都合が良いように歪められていることが少なくないことを知ることも、大切なような気がするのです。
『 何を言っているのかと尋ねられなければ、自分の意見ははっきりしてる。しかし、何を言っているのかと尋ねられると、たちまち意見が揺らいでしまう。』などと言う声が聞こえてきそうな気もするのですが。
( 2019.07.17 )
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