雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

立ち止まる勇気を ・ 小さな小さな物語 ( 1207 )

2019-12-08 15:48:09 | 小さな小さな物語 第二十一部

昨日・今日の事ではないと思うのですが、最近、辛い事件が多発しているのではないのかと感じています。
あらゆる犠牲を払ってでも守るべき子供を、両親が虐待し、殺してしまうといった犯罪が、あまりにも日常化しているような気がします。他にも、幼い子供が犠牲になる事故や事件も、大きなニュースとなって、耳を塞ぎたくなるほどに飛び込んできます。
そして、この度は、警察官を襲撃して拳銃を奪うという事件が発生しました。この種の事件が前代未聞というほど特別なわけではありませんが、重体となっている警察官の親族の方々や、今回の場合、犯人は自分の息子ではないかと連絡した父親の心情を思いますと、何とも辛い気持ちになってしまいます。

私たちの社会から犯罪や事故を無くすことなど出来ません。犯罪と事故を一緒ににするのはどうかと思いますが、当然避けられるような事を守らずに起こった事故は、限りなく犯罪に近いように思います。
一つ重大犯罪が発生すると、それが一応の決着を見ても、当時者はもちろんですが、被害者の家族や関係者も、加害者の家族や関係者も大きな影響を受けます。時には、その後の人生を大きく歪めてしまうことも珍しくないようです。
悪質な犯罪も、悪質な事故も、無くなることなどないでしょう。しかし、たとえ少しでも、数字に表れないほど僅かだとしても、減少させる手段はないのでしょうか。

社会の仕組みや、教育の在り方など、何とか人類の英知をこの面にも投入してほしいと祈りますが、私たち個々も、今少し、勇気を育てることが必要なように思うのです。「立ち止まる勇気」です。
どうにも堪えられない時、どうしても許せなくなった時、何もかもどうでもよくなった時、等々・・・、理性を抑えきれなくなった時に、とりあえず一度「立ち止まる勇気」を、何とか身につける努力をしたいと思うのです。

冷静な時、他人の事件を眺めている時、そのような時であれば、別に勇気などなくても、それなりの判断ができるものです。他人の事であれば、たいていの人は立派なことを言えます。
必要なのは、自分自身が窮地に立った時の「立ち止まる勇気」です。簡単な事ではないことは十分承知です。お前はどうだ、と訊ねられると答えることさえできません。
しかし、それでもなお、私たちには、「立ち止まる勇気」こそ、品格の重要な一要素であることを訴えたいと思うのです。

( 2019.06.20 )


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