雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

二月は面白い ・ 小さな小さな物語 ( 247 )

2011-07-20 14:52:43 | 小さな小さな物語 第五部~第八部
今日二月二日は、旧暦の十二月三十日、つまり大晦日にあたります。
今時、旧暦を持ち出して何になるのかと言われますと、まあ、その通りなんですが、私たちの生活、意外に旧暦の影響を受けていることもあるんですよ。
例えば、年賀状の冒頭に「初春のお祝いを申し上げます」などといった文章が使われることがあり、またそれを見ても大して違和感を持たないのも、その影響ともいえます。
旧暦の正月というのは、極寒の時期を過ぎてぼつぼつ梅の蕾が膨らむ頃ですから、人々は春を感じたのでしょうね。


二月のことを、「きさらぎ」と呼びますが、「如月」という漢字をあてるのは、中国から来たものだそうです。わが国固有のものとしては、「絹更着」「衣更着」「生更ぎ」などが充てられるようですが、このうちの前の二つは、まだまだ寒さが厳しいので、「衣を更に着る」という意味からきています。
私たちの祖先たちは、旧暦の二月に対して、春の息吹を感じるとともに、さらに厳しい寒さも当然のこととして受け入れていたのでしょうね。
つまり、旧暦二月は大変微妙な季節感が私たちを包む季節だったのでしょうね。


現在私たちが生活の基盤としている暦においても、二月は特別な月です。
ひと月は、三十日、あるいは三十一日で構成されているのに、何故か二月だけは二十八日です。そうなった理由としては、ローマの初代皇帝となったアウグストゥスが自分の生れ月である八月を、それまで三十日であったものを三十一日としたため、その一日を二月から奪ったのだそうです。当時の暦では、三月が年の初めであり、二月は最後の月であるからそこから減らしたというのです。
それにしても、一日取られて二十九日というのなら分からないでもないのですが、もともと少なかったというのもどうも理解に苦しみます。
その後長い歴史を積み重ねていながら、未だに二月を三十日にしようという運動は起こらないのが不思議です。


その代わりというわけではないのでしょうが、閏年にあたる時には、一日おまけがついて二十九日になります。それでも他のどの月よりも少ない日数ということには変わりません。
さらに、おまけが付けられる結果、年によって日数が違う唯一の月でもあります。
さて、この日数の違いは私たちにどのような影響を与えているのでしょうか。月給制の人は得した感じでしょうし、支払う側は損した気持ちかもしれません。「ニッパチ」といって、昔から二月と八月は商売の成績が良くない月とされていますが、二月についていえば、日数が少ないことも影響していることでしょう。
まあ、いずれにしても、二月は他の月とは違っていて、面白い月です。取りあえず、二日分程度はへそくりを作りたいものですね。

( 2011.02.02 )

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