雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

日本シリーズ 第六戦始まる

2023-11-04 18:19:06 | 日々これ好日

     『 日本シリーズ 第六戦始まる 』

    日本シリーズの 第六戦が 間もなく始まる
    ここまでの 阪神3勝 オリックス2勝は
    阪神有利とは言え 大接戦の展開だ
    シリーズが始まる前の 予想では
    投手力が勝っている と思っていたが
    意外に 点を取り合っている
    ただ ホームランは 阪神0本 オリックスも2本だけだ
    さて 本日の試合展開は どうなるのか
    一番の注目は おそらくわが国での 最後の登板となる
    山本由伸投手の ピッチングだ

                     ☆☆☆

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肉体と魂が入れ替わった娘 ・ 今昔物語 ( 20 - 18 )

2023-11-04 07:58:41 | 今昔物語拾い読み ・ その5

     『 肉体と魂が入れ替わった娘 ・ 今昔物語 ( 20 - 18 ) 』


今は昔、
讃岐国山田郡に一人の女がいた。姓は布敷氏である。
この女が突然重い病にかかった。そこで、立派なご馳走を調えて、それを門の左右に祭って、疫神(ヤクジン・疫病を流行させる神。)に賄(マイナイ・賄賂)としてご馳走した。

そうした時、閻魔王の使いの鬼がその家にやって来て、この病の女を召し出そうとしたが、鬼は走り疲れていたので、この祭っているご馳走を見てすっかり引きつけられて、それを食べてしまった。
やがて鬼は、女を捕まえて連行する間に、鬼は女に語った。「わしはお前が供えた物を頂戴した。この恩返しをしたいと思うが、もしや、お前と同名同姓のの者はいるか」と訊ねた。
女は、「同じ国の鵜足郡(ウタリノコオリ)に、同名同姓の女がいます」と答えた。
鬼はこれを聞くと、この女を連れてその鵜足郡の女の家に行き、真っ正面からその女に向かい、緋色の袋から一尺ばかりの鑿(ノミ)を取り出して、この家の女の額に打ち立てて、捕らえて連れ去っていった。
その山田郡の女は許されたので、恐る恐る家に返った、と思った時蘇生した。

さて、閻魔王はこの鵜
足郡の女を連行してきたのを見ると、「この者は召し出すべき女ではない。お前は、間違ってこの女を連れてきたのだ。されば、しばらくこの女を留めておいて、あの山田郡の女を召して連行して参れ」と仰せられた。
鬼は隠しきることが出来ず、遂に山田郡の女を召して連行してきた。閻魔王はそれを見て、「まさにこの者こそ、召し出すべき女である。あの鵜足郡の女は返してやるのだ」と仰せられた。
ところが、すでに三日が経っていて、鵜足郡の女の体は焼かれてしまっていた。そのため、その女の魂は体が無いため、返り入ることが出来ず、戻ってきて閻魔王に申し上げた。「わたしは、家に返らせて頂きましたが、すでに体が無くなっていて、寄り付く所がありません」と。
すると、王は使いに訊ねられた。「あの山田郡の死体はまだそのままか」と。
使いは、「まだそのままでございます」と答えた。
王は、「されば、その山田郡の女の体を頂戴して、汝の体にするがよい」と仰せになった。

これによって、鵜足郡の女の魂は、山田郡の女の体に入った。そして蘇生して言った。
「ここはわたしの家ではありません。わたしの家は鵜足郡にあります」と。
父母は、娘が生き返ったことを喜び感激していたが、蘇生した娘の言葉を聞いて、「お前は私たちの子だ。どうしてその様な事を言うのか。みんな忘れてしまったのか」と言った。
蘇生した女は、どうしても父母の言葉を聞き入れず、一人家を出て、鵜足郡の家に行った。その家の父母は、見知らぬ女がやって来たのを見て、驚き不審に思っていると、その女は「ここはわたしの家です」と言った。
その家の父母は、「あなたは、私たちの子ではありません。私たちの子は、亡くなってしまい、すでに火葬しましたよ」と話した。
すると、その女は、冥途において閻魔王が仰せになったことを詳しく語った。父母はこれを聞いて、涙を流して感激し、生きていた時の事などを問いただした。女の答は、一つとして違う事が無かった。そこで、体は違っているが、魂は明らかに我が娘なので、父母は喜んでこの娘を可愛がり大切に養育した。

また、山田郡の父母はこれを聞いて、やって来て見てみると、まさしく我が子の姿なので、魂は違っているとはいえ、姿を見て、しみじみと愛おしく思った。
そこで、両家の親はこの状況をこの話を信じて、共に養育するようになったので、この娘は二つの家の財産を受け継ぐことになった。
こうしたわけで、この娘一人には、現世に四人の父母が存在し、両家の財産も自分の物となったのである。

これを思うに、ご馳走を調えて鬼に施しをするのも決して無駄では無いようだ。それによって、こういう事もあるのだ。
また、人が死んだからといって、急いで葬ってはならない。万が一にも、思いがけずこういう事もあるのだ、
となむ語り伝へたるとや。

     ☆   ☆   ☆

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