今、お洒落な自転車で通勤している人も多いですね。
私が子供の頃、実家の父もお隣の市にある会社まで 自転車通勤していました。
もっとも、今の様な軽くて速い物ではなくて、ごく普通の、3段階ギアのサイクリング車でした。
ゆっくり漕いでも、片道30分位。
遠くない距離とはいえ、毎日のことですし、年輪を重ねて体力的にもキツクなってきたのでしょう。
ある日、父は原付バイクの免許を取得しました。
数日後、当時発売されたばかりの ホンダ・ロードパルが届きました。
これ…。
“ ラッタッタ ”
※ 知らないお子たちは、お父さんお母さんに訊いてみましょう。
「 あぁ、これは楽だ♪」 と、父はとても嬉しそうでした。
数年経ったある日…。
当時発売されたばかりの ホンダ・タクトが届きました。
これ…。
跨るタイプのラッタッタと違って、スクータータイプですから足を揃えて置けます。
「 あぁ、もっと楽だ♪」 と、父はやっぱり嬉しそうでした。
ただ、雨の日にはレインコートを着て行くしかないので、ちょっぴり不便。
自動車免許取得のために通った教習所の授業で、子供が飛び出すビデオを観て怖くなり、断念してしまった父…。
雨風・夏の日照りに耐えながら、スクーター通いを続けていました。
数年経ったある日…。
見たことのない乗り物が届きました。
三輪車…?
三輪スクーターをベースに、合成樹脂素材で全体をスッポリと覆ってあります。
左右にはドアがあって窓も開閉しますし、後部にもドアがあって荷物もらくらく積めます。
上部が白・下部が青の、ツートンカラーの小さな一人用三輪車です。
とっても可愛くて、兄や私や従兄弟たちに大人気。
「 あぁ、すごく楽だ♪」 と、父は本当に嬉しそうでした。
生産台数が少ないので珍しく、道行く人にも注目の的だったのだとか。
当時は原付免許で乗ることが出来ましたけれども、後に専用免許が交付されました。
「 この免許じゃないと乗れないんだよ。しかも、これは乗り続けてた人だけしか貰えないんだよ。」
自動車免許は未取得でしたけれど、特別な免許を取得出来て、本当に良かったですね
その後、幾度かのメンテナンスをしつつ、父は定年退職するまで、そのミニ三輪車で通い続けました。
廃車してしまいましたので、もう実家にはありません…。
残ってたら、引き取って乗りたかったなぁ…。
元々生産台数が少ない上に、製造期間も短かったミニ三輪車。
それが何と、お家からそう遠くない場所にある呉服屋さんの店先に駐輪(?)しています。
父のと色違いの、赤いミニ三輪車。
見掛けると、亡き父の嬉しそうな笑顔を想い出して、懐かしくなります。
ねッ?
可愛いでしょう