私は何を
血迷ったのか(?)、
テニス部に在籍して
いました。
特に興味があったわけでもなく、「 みすずもテニス部にしなよ。」 と お友達に勧められるまま決めてしまいました。
折りしも、数年前から 『 エースをねらえ!』 の大ブーム…。
残念ながら、藤堂さんや尾崎さんの様な 素敵な先輩から見守られることもなく、かといって お蝶夫人の様な麗しい先輩に 優しくされることもありません…。
顧問の先生ときたら、テニスコートで白球を追いかけるよりも、
理科室で顕微鏡を覗いている方が よっぽど似合いそうな青白い中年のおじ様。
宗方コーチの様な 渋い青年を期待した私が、お馬鹿でした…。
もっとも 私自身、岡ひろみの様に 類稀なる才能を秘めているわけではありませんから、文句も言えません。
折角入部した以上、「 緑川蘭子にでもなってみようか。」 と思いましたけれども、実際のところは マキちゃんがいいところ…。
お友達も五十歩百歩で、ウィンブルドンを目指す熱血根性娘など 一人もいませんでした。
それなのに…2年生の先輩の中に たった一人だけ…。
いました いました!漫画キャラ…。
絵に描いたような、いぢわるな先輩が…。
私にだけではなく、1年生全員に分け隔てなく いぢわるでしたので、ある意味 平等といえます。
ここでは 音羽先輩と
しておきましょう。
我がテニス部、ラリー練習中には コートの外の全員で掛け声を掛けます。
ファイトー!ハイ!ファイトー!ハイ!ファイトー!ハイ!ファイトー!ハーイ!
赤字の部分を一人で、青字の部分を全員で掛けます。
これを、順番に 延々と掛け続けます。
さらに、ラリー中にボールが 「 アウト 」 になると、ボールの落下点近くに居た人が、「 ラケット1本でぇ~すッ! 」 と叫びます。
位のアウトです…という
意味なのでしょうか?
1本分ではなくても、こう叫びますけれども…。
さて、この音羽先輩…3年生が引退するや否や、我が世の春を
謳歌し始めました。
私達1年生に、どんどん注意します。
掛け声に 「 あんた、声が小さい!」、ボール出しに 「 あんた、タイミングが悪い!」 等々…。
必ず注意されます。
中には、首を傾げてしまう様な 不可解な注意もあります。
音羽先輩の理不尽ないぢわるに、皆のイライラは募ります。
他の先輩達も、顧問の先生さえ、辟易しています。
そして、音羽先輩のラリーの順番がやってきました。
皆の掛け声は、何処か
投げやりです。
真面目に
やんなさいよー!」
音羽先輩、貴女はラリーに集中して下さい…。
音羽先輩の打ち損じたボールが、場外ホームランの如く 天高く消えてゆきました…。
一瞬、掛け声がピタリと止んだ中、お友達のS田ちゃんが 大声で叫びました。
100本
でぇ~すッ!」
コートに居た全ての人が、心の中で S田ちゃんに喝采を浴びせました。
皆様も、学校や職場にいる音羽先輩の 格好悪い場面を見てしまったら、心の中で叫びましょう。
100本
でぇ~すッ!