夜な夜なシネマ

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『幸せへのキセキ』

2012年06月13日 | 映画(さ行)
『幸せへのキセキ』(原題:We Bought a Zoo)
監督:キャメロン・クロウ
出演:マット・デイモン,スカーレット・ヨハンソン,トーマス・ヘイデン・チャーチ,
   パトリック・フュジット,エル・ファニング,アンガス・マクファーデン他

誰かがくしゃみをしたとき、たとえそれが通りすがりの人であっても、
アメリカでは“Bless You.”と言う。
それを知ったのは20年前、『シングルス』(1992)を観たときでした。

エレベーターの中、ドアが開いた瞬間にくしゃみをした男性に、
乗り合わせた女性が“Bless You.”とつぶやいて降りる。
字幕では確か「幸あれ」と訳されていたと思うのですが、
なんとも言えない幸せを感じられるこのシーンが大好きで、
キャメロン・クロウ監督のファンになりました。

しかし、精力的に映画を撮る監督とは言えず、ほぼ5年に1本のペース。
私としては待ちに待った新作が来た!ということで、封切り日に。

イギリスの人気コラムニスト、ベンジャミン・ミーの身に起きた実話を映画化。
原題は“We Bought a Zoo”。はい、動物園を買っちゃいました。
邦題には「奇跡」と「軌跡」の意味を込めたのでしょうね。

ロサンゼルスの新聞社に勤務するベンジャミンは、
体を張った取材で人気のコラムニスト。
半年前に最愛の妻を亡くし、子どもたちとの生活にてんてこ舞い。
上司は彼に同情しつつも、仕事の成果を求める。
あくまで紙媒体でのニュース発信にこだわるベンジャミンは、
ウェブでの発信を強いられたことから勢いで辞職する。

14歳の息子ディランは、母親を失って以来、問題を起こしてばかり。
盗みを働いたうえに、得意の美術で不愉快極まりない絵を描き、ついに退学に。
7歳のおしゃまなロージーは、明るく振る舞ってはいるが、やはり元気がない。
そこで心機一転、引っ越してやり直そうと考えたベンジャミンは、
郊外の自然に囲まれた理想的な格安物件を見つける。

ところが、格安なのは訳ありで、この家を取り囲むのは動物園。
オーナーが亡くなってから2年間、閉園を余儀なくされているが、
この家を買う者は動物園も継がなければならないとの遺言。
動物園の経営なんて無理だとあきらめかけるが、
ロージーの喜ぶ姿を見た瞬間、購入を決定してしまう。
こうして、閉園中も動物たちの世話をしつづけてきたスタッフとともに、
ベンジャミンの悪戦苦闘が始まるのだが……。

同監督の作品にはついつい甘くなってしまいますが、やはりこれも大好きです。
出てくる人が基本的にみんないい人。
動物園の開園の可否を調査しにくるお役人もどこかユーモラスで、
嫌みぶりが最後にしっかり効いてきます。
ただ一人、スタッフたちに要らぬことを吹き込んだおばちゃんが、
いとも簡単に「アディオス!」と言われたのも可笑しい。

『フィールド・オブ・ドリームス』(1989)的展開は想像つきまくりなのに、
ボロボロ泣いてしまいました。
思えばこれも、気持ちの整理をつける話ですよね。

余談ですが、ディラン役のコリン・フォードが
『ターミネーター2』(1991)の頃のエドワード・ファーロング似なのが気がかり。(^o^;
ディランの甘酸っぱい恋の話(相手役はダコタ・ファニングの妹)もめちゃめちゃよかっただけに、
美形少年俳優だったのに薬と酒に溺れて……なんてことがないように願いたいです。

20秒だけ、勇気を持って。

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