夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ミリオンダラー・アーム』

2014年10月10日 | 映画(ま行)
『ミリオンダラー・アーム』(原題:Million Dollar Arm)
監督:クレイグ・ギレスピー
出演:ジョン・ハム,アーシフ・マンドヴィ,ビル・パクストン,スラージ・シャルマ,
   レイク・ベル,マドゥル・ミッタル,ピトバッシュ,アラン・アーキン他

前述の『蜩ノ記』とハシゴ。
TOHOシネマズ梅田本館から別館アネックスに移動して。

野球の映画は絶対に観逃せません。
20年前は、季節が夏から秋に変わるより先に球場全体に秋風が吹いていて、
10月初めに球場に行けばガラガラ状態でした。
だから、球場にかよいつつ、現実から逃避したくて野球の映画を観る、
なんてこともありましたけれど、今はどちらも楽しめて幸せです。

野球未開の地だったインドから初のメジャーリーガーを誕生させた、
スポーツエージェント、JB・バーンスタインの話。実話に基づく。
監督は『ラースと、その彼女』(2007)、『Mr.ウッドコック 史上最悪の体育教師』(2007)の人で、
どうやら私はこの監督もわりと好きなようです。

ロサンゼルスのそこそこ豪邸で自由気ままな独身生活を送るJB。
しかし、その生活はかつて大稼ぎしていたころの貯金で手に入れたもので、
スポーツエージェントとして独立した今、会社の経営は火の車。
まもなく事務所として借りている部屋の賃貸料も払えなくなりそうで、
ここは一発、大物スポーツ選手との契約を勝ち取らなければ破産確実。

契約寸前までこぎつけていたアメフト選手を大手ライバル企業にさらわれ、お先真っ暗。
そんなとき、相棒のアッシュがこよなく愛するクリケットの試合をTVで観ていて閃く。
インドでクリケットの剛腕選手をスカウトしてみてはどうかと。

人口12億人のインドでもっとも人気のあるスポーツがクリケット。
その選手をスカウトすれば、国民が野球ファンにもなるはず。
クリケット選手を集めてオーディションを開催、番組として放送すれば、良い宣伝になる。
資金調達のため、そんなふうに投資家に持ちかけると、色よい返事。

ただし、資金提供に条件を付けられる。
見込みのありそうな選手をアメリカへ連れ帰り、
1年以内にメジャーリーグの球団テストを受けさせよと。
心理学の面から指導する投手コーチのトムに相談すると、まず無理だと言う。
しかし、絶対無理だとは言わないトムに、もしも上手く行けば、
君だってコーチとしての名声が上がるのだからやってみてよと丸め込む。

こうして開催が決定したオーディション“ミリオンダラー・アーム”。
JBはただちにムンバイへと飛び、後日、老スカウトのレイもインド入り。
オーディションのことを知った野球好きのインド人アミトが、
将来野球の指導に携わりたいと言って通訳等のボランティアに手を挙げる。

続々と参加希望者はやってくるが、剛腕は見当たらず、JBは意気消沈。
あきらめかけたとき、リンク・シンとディネシュ・パテルという2人の青年がやってくる。
140km/h近い球を投げる2人を連れ帰り、猛特訓を開始するのだが……。

クリント・イーストウッド監督の作品が鉄板であるように、
ディズニー配給のスポ根ものは鉄板。
だけど本作は根性論ではないところが私のお気に入り。

インドの貧しい村の出身で夢を抱くどころか夢の存在すら知らなかった2人。
賞金に釣られたのも、少しでも家族を幸せにできたらと考えてのこと。
アメリカに行けば見たことのないものばかりでびっくり仰天。
エスカレーターやエレベーターに戸惑ったり面白がったり。

お決まりのコースではありますが、2人を育てるはずだったJBが、
いつのまにかビジネスのみではない考え方を持ち、
人間として成長してゆく姿はやはり良いもの。
彼らに力を貸す女医ブレンダも非常に魅力的です。

相変わらずやってくれるのはレイ役のアラン・アーキン
どの作品でも同じタイプの役柄に思えるのにそうじゃない。
西島秀俊についてそんなことを書いたことがありますが、
役柄のほうが近寄ってくる役者さんなのかなという気がします。

その後2人がどの程度活躍したのかは知りませんが、
さまざまな壁があっても、導いてくれる人と挑戦する気持ちがあれば、
夢は夢でなくなるということ。爽快です。

ボリウッドじゃないのにボリウッドっぽい音楽も楽しい。
野球、そして人間のことが、さらに好きになります。

北海道の人みんながみんなスキーができて、好きだというわけではないのと同じで、
インド人がみんなクリケット好きではないというのが可笑しいですね。

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