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『めくらやなぎと眠る女』〈字幕版〉

2024年08月08日 | 映画(ま行)
『めくらやなぎと眠る女』(原題:Saules Aveugles, Femme Endormie)
監督:ピエール・フォルデス
声の出演:ライアン・ボンマリート,ショシャーナ・ワイルダー,マルセロ・アロヨ,
     ピエール・フォルデス,スコット・ハンフリー,アーサー・ホールデン他
 
テアトル梅田(旧シネ・リーブル梅田)にて、前述の『仕置き人DJ』の次に。
 
フランス /ルクセンブルク/カナダ/オランダ 作品。
字幕版と吹替版が公開されています。
しかしオリジナルのフランス語版は別に存在するようで、これは英語版です。
 
タイトルの小説は村上春樹『螢・納屋を焼く・その他の短編』に収録された短編。
本作はそれと別の2つの短編集にも含まれる話を6編選び出し、再構築してアニメ化したもの。
6編というのは、表題作のほか、『かえるくん、東京を救う』『バースデイ・ガール』
『かいつぶり』『ねじまき鳥と火曜日の女たち』『UFOが釧路に降りる』です。
 
2011年、東日本大震災が起きる。
それ以後、東京に暮らす銀行員・コムラの妻・キョウコは毎日テレビの報道を見続け、
外出は一切せず、風呂にも入らず、コムラと話そうともしなかったが、ある日突然失踪。
置き手紙には、コムラのもとへ戻るつもりはないと記されていた。
 
困惑するコムラは、上司の勧めもあって1週間休暇を取ることに。
北海道へ行くと言うと、同僚から向こうに在住する女性への届け物を託される。
 
一方、コムラの同僚カタギリは、上司から無理難題を言い渡されて困り果てていた。
7億円の融資先がそれを踏み倒そうとしているから回収しろと言うのだ。
相手はどう考えてもヤクザで、顧問弁護士も会おうとすらしてくれない。
こんな話をどうすればいいというのだろう。
 
そう思いつつ帰宅すると、部屋で巨大なかえるがカタギリを待っていた。
「かえるくん」はカタギリの悩みを解決する代わりに、東京を救う手助けをしてほしいと言う。
次にまた大地震が来ることになっているから、それを一緒に阻止しようと。
半信半疑どころかまったく信じられないカタギリだったが、
その話の直後に、融資先の顧問弁護士が「払います」と言ってきて……。
 
日本の風景に日本人がいて、英語を話している不思議。
なのにあんまり違和感がなく、この世界に引きずり込まれます。
 
ただ、村上春樹ですから、わかりやすい話ではない。
学生の頃、なぜあんなに彼の本を読めたんだろうと、いま思えばそのほうが不思議です。
到底理解できなくて、面白そうな雰囲気だけを楽しんでいるうちに眠くなる(笑)。
日本独特のラブホ文化がこうしてアニメ映像として出てくるのなどは面白いのですけれど。
 
昔は思いませんでしたが、村上春樹の世界って結構ブラックなんですよね。
最近読み返した『ふしぎな図書館』なんかもグロいところがあったりして、本作の気味の悪いシーンとかぶりました。
 
でもやっぱり村上春樹は村上春樹。この世界をわかりたいと思わされます。
吹替版はコムラの声を磯村勇斗、カタギリの声を塚本晋也が担当しているそうな。そっちも観たい。
もう1回観たらわかるでしょうか。

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