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『100万ドルのホームランボール』

2008年10月22日 | 映画(は行)
『100万ドルのホームランボール』(原題:Up for Grabs)
監督:マイケル・ラノヴィックス

野球のことには触れずに、
ロードショーで観た映画について書くべきなんでしょうが、
敢えて引っ張っておきます。

なんちゅうのか、シーズン中、70回近い投球回数で、
自責点がわずか5点だった藤川が、
これまでの対戦でほぼ三振に仕留めてきたウッズに
パコ~ンと2ランを打たれ、
その裏のこちらの攻撃では3番、4番、5番が
ショボショボに終わるあっけなさ。どうよ、これ。

本作は、2001年、メジャーリーグのポストシーズンに起こった、
アホらしく、なおかつ、非常に興味深いお話のドキュメンタリー。
2004年の作品で、日本公開は去年でした。

2001年10月7日。
バリー・ボンズが年間最多本塁打記録となる73号ホームランを放つ。
過去にそのようなボールに数億円の値がついたことを知っている観客たちは、
自分こそが73号ホームランボールを捕ろうと殺気立つ。
外野スタンドに飛び込んだボールの上に重なる観客。
いったいボールを捕ったのは誰なのか。

ボールを掲げた男性はパトリック・ハヤシ。
取材中のTV局のカメラに向かって満面の笑みをたたえる。
ところが、彼にボールを横取りされたという男性、
アレックス・ポポフが現れる。
最初にキャッチしたのは自分で、ヤツにボールを盗られたと主張。

双方の言い分はひたすら平行線をたどり、
法廷で争われることに。さて、その結末は?

おもしろいです。
ポポフは目立ちたがり屋で口も達者な自信家。
一方のハヤシはおとなしい日系人で、
口数が少ないのが逆効果を与えてしまいます。
うしろめたいから何も喋らないんだろ、てな感じで。

物的証拠や目撃証言が公平な目で展開されるので、
本当はどちらが嘘をついているんだろうと、
まるでミステリー映画を観ている気にさせられます。
でも、たぶん、どちらも嘘はついていない。
問題は、最初に捕った人、自分の前に転がって来たそれを捕った人、
どちらに所有権があるかということで、この訴訟を担当した判事は、
こんな興味深い事例を担当できることが光栄だと言っています。

2001年といえば、9.11同時多発テロの年。
その1カ月後に、こんな論争が繰り広げられ、
ときにはイラク戦争よりも大きく取り上げられていたなんて(苦笑)。

欲に駆られて争うことが、
人から見ればいかに醜くてアホらしいか。
後日談も効いていて笑えます。
ポストシーズンのこんなネタも楽しいけれど。

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