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『ロマンス』

2015年09月10日 | 映画(ら行)
『ロマンス』
監督:タナダユキ
出演:大島優子,大倉孝二,野嵜好美,窪田正孝,西牟田恵他

日曜日にシネ・リーブル梅田にて2本ハシゴの1本目。
しかし毎度のことながら、飲んだ翌日の梅田スカイビルの遠いこと。
映画のスケジュールを組むとき、ついつい避けそうになるけれど、
行ってみれば、いい映画にいっぱい出会えてよかったと思うのでした。

タナダユキ監督の作品を初めて観たのは『モル』(2000)。
PFF(ぴあフィルムフェスティバル)にからむと大成する監督が多く、
『運命じゃない人』(2004)とか『川の底からこんにちは』(2009)とか、
お気に入り中のお気に入りになった作品もたくさんありますが、
タナダ監督自身が主演まで務めた『モル』はちょっとイタくて苦手でした。
『ふがいない僕は空を見た』(2012)でようやくこの監督、好きかもと思いはじめ、
『四十九日のレシピ』(2013)でやっぱり好きに。
あくまで映画の中で見ている印象だけで言えば、元AKB48のメンバーでは、
前田敦子ちゃんより大島優子ちゃんのほうが好きみたいです、私。

新宿と箱根を往復する特急ロマンスカーに
車内販売の乗務員として勤務する26歳の北條鉢子(大島優子)。
そつのない接客で成績優秀、しっかり者の彼女だが、
つきあっているのはぐうたらなダメ男(窪田正孝)。
ため息しか出ない日々。

そんなある日、届いた母(西牟田恵)からの手紙。
両親は鉢子がまだ幼い頃に離婚。
父と別れてからというもの、母は絶えず男を家に引っ張り込み、
そのせいで鉢子は学校でいじめられたこともある。
許せないまま疎遠になっていた母の手紙などいまさら読みたくもない。
鉢子は手紙を開封せずに鞄に突っ込み、出勤する。

後輩の久保ちゃん(野嵜好美)と勤務に就いた鉢子は、
乗客である桜庭洋一(大倉孝二)がスナック菓子を万引きするところを目撃。
箱根に到着するとともに引っ張り出そうとすると、桜庭は逃走を図る。
桜庭を追いかけて捕まえることに成功するが、
鉢子がごみ箱に放り込んだ手紙を勝手に開封した桜庭は、
手紙の主に自殺の可能性がある、探しに行くべきだと言い出して……。

ちょっとした箱根案内の映像にもなっているのが楽しいです。
このふたりが恋に落ちるみたいな展開になっても嫌でしたが、
一緒にラブホには行ってもそうはならず。これがタナダ監督のいいところ。

いちばん可笑しかったのは、野嵜好美演じる久保ちゃん。
お世辞にも可愛いとは言えず、失敗ばかりの彼女に、
「久保ちゃ~ん、いくら強力なコネで入ったって言ってもさぁ、クビになるよ」と鉢子。
客室乗務員といえば美人と決まっているものですが、
航空会社ではそうでない人が入社すると、
「天皇のコネ」と言われたりすると聞いたことがあります。
その話を思い出し、久保ちゃんを見て笑ってしまいました。
上司に叱られる鉢子をかばおうとする久保ちゃんが傑作です。

脚本も監督自身によるもの。
そうでない作品のほうが好きなような気はしますが、まぁよかったかと。

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