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『プライバシーゼロ 秘密ライフ』

2016年07月03日 | 映画(は行)
『プライバシーゼロ 秘密ライフ』
監督:平野勝之
出演:榎本靖,木村亜美,ペヤンヌマキ,デモ田中他

立誠シネマプロジェクトで4本ハシゴの3本目。

女が観に行く機会はまずないAV(アダルトビデオ)
だけどナナゲイやこの立誠シネマをはじめとする劇場で上映されるようになり、
女ひとりでも変な目で見られることなく鑑賞できるようになりました。

本作は『監督失格』(2011)の平野勝之監督による自選レア作品集。
“月刊平野勝之 京都篇 戦う映画監督平野勝之”と題し、
このたび立誠シネマで上映するために京都初上映の作品をご自分で選出。
それが日替わりで上映されました。
日替わりなので、私が行った日はたまたま本作の上映だったわけですが、
AVのドキュメンタリー系が好きな私にとっては大当たりの日だったみたい。

2000年の作品で、もちろんR18+指定、成人映画。
チケットを買うとき、「過激な内容が含まれますが大丈夫ですか」と聞かれました。
この日の観客は100%、一人で来ている客。そして女は私のみ。
男性客にはそんなことは聞いていなかったから、一応気遣ってくれたのかと。
しかし「過激な内容」とおっしゃるからには、もしや私の想定外で、
『劇場版 テレクラキャノンボール 2013』(2014)のように
スカトロが含まれていたら涙目だわと思っていたら大丈夫でした。

なにしろAVですから、以下、下ネタてんこ盛りです。
下ネタは受け付けないという方はお読みにならないでください。

平野監督が勤務するAV制作会社“GAS”の新入社員・榎本靖くん、27歳。
彼は親に内緒で映像の専門学校を辞め、GASに入社。
今回はその事実を両親に告白することを決意。
さらには自分が初監督するAVのカラミのシーンを自宅で撮らせてほしいと言うつもり。

榎本くんがこんなことを考えたのは、
平野監督の『アンチSEXフレンド募集ビデオ』(1994)に触発されたから。
『アンチ~』は平野監督がAV女優を婚約者に偽装して実家へ連れて行き、
実はセフレなんだよと親に打ち明けて大混乱、その模様を撮影したAV。
今回の目論見はさらにその上を行くと言っても過言ではない代物。
なにせ、実家の部屋でAVを撮影させろと親に頼むのですから。

平野監督と榎本くん、デモ田中などの撮影チームはいざ榎本家を目指します。
AV女優の木村亜美とGASの女性社員ペヤンヌマキを
榎本くん監督作品に協力してくれる友人として先に実家へ送り込みます。
まさか息子がAV制作会社に入社したなどと思いもしない榎本くんのお母さんは、
自慢の息子の女友だちとして亜美とマキを歓待。
その間、撮影チームは近くの河原でキャンプ、
翌日、榎本くんが衝撃の告白をした後に実家へ突入という段取り。

AVといえばただただヤラしいもの。
ずいぶん前から私のそんな印象はまったくなくなっていますが、
これを観たらさらに変わります。
劇場の雰囲気もサイコーで、みんな大笑いしているんだもの。
ちょっとここには書けないネタなどもあって、思い出しただけで可笑しい。

ふざけているばかりではありません。
幼い頃から手がかからなかった自慢の息子。
いつか息子が撮った作品を観ることを楽しみにしていたのに、
いきなり聞かされる話にショックが消えず。
お母さんは涙ぼろぼろ、お父さんは絶句。
それでも、まだ放心しているときに現れた撮影チームに
「よろしくお願いします」と頭を下げる両親の姿。
息子を応援したい気持ちに変わりはない、だけどできればこの道では失敗してほしい。
そりゃ親として当たり前の気持ちでしょう。

傑作。
私は声を大にして言いたい。ズルイよ、男ばっかり。
こんな面白いものを独占するなんて。

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