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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『あの歌を憶えている』

2025年03月18日 | 映画(あ行)
『あの歌を憶えている』(原題:Memory)
監督:ミシェル・フランコ
出演:ジェシカ・チャステイン,ピーター・サースガード,メリット・ウェヴァー,ブルック・ティンバー,
   エルシー・フィッシャー,ジョシュ・チャールズ,ジェシカ・ハーパー他
 
なんばパークスシネマにて2本ハシゴの2本目。前述の『デュオ 1/2のピアニスト』の次に。
 
評判がとても良さそうだったから観に行ったのに、私にはまったく刺さらなかったアメリカ/メキシコ作品。
と最初に書くのもどうかと思うけれど、期待していただけにガッカリ度が高くて。
監督は『ニューオーダー』(2020)のミシェル・フランコ。『母の聖戦』(2021)のプロデューサーでもあります。
 
ニューヨークで13歳の娘アナと暮らすシングルマザーのシルヴィア。
アルコール依存症を克服して12年。今も断酒会には通っている。
障害者の支援施設ソーシャルワーカーとして働き、利用者や同僚たちの信頼も厚い。
 
ある日、妹のサラに誘われて、気乗りせずも高校の同窓会に出席する。
飲酒はできないし、社交的でもないシルヴィアは退屈で仕方ない。
すると、そんなシルヴィアを部屋の片隅からじっと見つめていた男が近づいてくる。
咄嗟に退出して帰途につくが、男は彼女についてきたばかりか、
自宅までたどり着いたシルヴィアがドアを閉めると、雨のなかずっと家の前に佇んでいるではないか。
 
翌朝、そのまま居眠りをしていた男に声をかけて彼の身元を確認。
電話をかけると、ソールというその男の弟アイザックが迎えにくる。
 
アイザックとその娘サラによれば、ソールは若年性認知症
大学生のサラがソールの面倒を見ていたが、休暇が終わって大学があるボストンに戻るらしく、
アイザックが勤めに出ている間、シルヴィアにソールの世話をしてほしいと頼まれ……。
 
きっといい話だろうと思ったし、このタイトルだから音楽を絡めた作品だと思っていました。
 
個人的にはあり得ないです。
こんな言い方はどうかと思うけど、ソールは額の禿げ上がって腹の出た、しかも認知症の中年男。
恋に落ちる相手ですか。
しかも、アイザックがソールの携帯を取り上げて連絡が取れなくなると、
ソールはシルヴィアの勤務先を訪ねて呼び出し、表でいきなりキスですよ。そしてベッドイン。
これって、『ドライブ・イン・マンハッタン』と変わらぬオッサンの妄想だと思うんですけど。
ハゲようが小太りになろうが頭おかしくなろうが(すみません)、女性と寝られますよっていう。
 
ネタバレになりますが、シルヴィアの過去は衝撃的でした。
12歳のときに17歳の少年からレイプされたという話は序盤に出てきていたけれど、
実は父親からも性的虐待を受けていて、その事実を母親に訴えたのに母親は娘を嘘つき呼ばわりをした。
妹もそのことに気づいていたのに、母親に怒られるのが怖くて言えなかったんですね。
 
こんなシルヴィアだから、セックスに対して恐怖があるのかと思いきや、ソールとすぐ寝るし。
めちゃくちゃ良い娘のアナの前ですっぽんぽんになるようなイカれた男と同居って、信じられません。
認知症だから仕方ないとは思えない。だって全部覚えてるじゃん。
 
何にも解決されないままのエンディング。
最後まで観終わって、思わず「しょうもな!」とつぶやいてしまいました。

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『デュオ 1/2のピアニスト』

2025年03月18日 | 映画(た行)
『デュオ 1/2のピアニスト』(原題:Prodigieuses)
監督:フレデリック・ポティエ,ヴァランタン・ポティエ
出演:カミーユ・ラザ,メラニー・ロベール,フランク・デュボスク,イザベル・カレ,レナート・ベッツェン
   ローラ・オーブリエール,エリザ・ダウティ,アウグスト・ヴィトゲンシュタイン他
 
お笑いコンビ“ドーナツ・ピーナツ”が上方漫才大賞を受賞したとかで、初冠番組を持つことに。
その初回の収録をスタジオなどではなくよしもと漫才劇場でおこなうに当たり、招待の企画がありました。
応募したら当選したので、午後休を取ってなんばへ向かう。
マンゲキに行く前にひとり昼酒、ドーナツ・ピーナツとゲストのアキナで笑った後はなんばパークスシネマへ。
 
2本ハシゴの1本目は、実在する双子ピアニストであるプレネ姉妹をモデルにしたフランス作品。
 
双子の姉妹クレールとジャンヌをピアニストにするべく、厳しく育ててきた父親セルジュ・ヴァロア。
本人は水泳の選手で、ピアノの経験など一度もないのに。
 
その甲斐あって、ふたりはドイツの名門カールスルーエ音楽大学に進学。
入学初日、ピアノ科の生徒全員がピアノを弾いてみるように言われ、クラスが振り分けられる。
クレールは筆頭教師のレナートが指導する上級クラスへ、ジャンヌは別の教師フィッシャーのクラスへ。
 
そんなふうになってもクレールを応援しつづけるジャンヌだったが、
クレールは声をかけてきたドラム科の上級生ダニエルに好意を抱いている様子。
以前のような始終一緒という時間が少しずつ減ってゆく。
 
あるとき、ジャンヌに嘘の片棒を担がせてダニエルとデートに出かけたクレール。
それを知ったセルジュが強引に連れ戻そうとしたさいにクレールは手首を痛める。
 
次期開催のコンサートでソリストに選出されていたのに、ピアノを弾けなくなったクレール。
彼女の様子がおかしいことに気づいたレナートはジャンヌを呼び出す。
ジャンヌはクレールの肩を持つも、レナートはクレールに見切りをつけると、
コンサートで楽団を率いる予定の有名な指揮者アイヴァン・レンネの前でジャンヌに演奏をさせる。
ジャンヌの演奏に驚喜するレンネ。
 
ところが、クレールの手首の痛みは遺伝性の骨の疾患だとわかる。
双子であるジャンヌにもその症状がいずれ出るのは間違いないと思われ……。
 
父親に練習を強いられていたとはいえ、クレールもジャンヌも心からピアノを愛していました。
ピアノを弾けない人生なんてあり得ないと、関節に負荷をかけない演奏法を考えてこっそり練習する。
ふたりの意思を尊重したい母親カトリーヌに対し、セルジュは手まで失う危険を無視できません。
ピアノの演奏を禁じようと練習先に乗り込んだそのとき、娘たちがこのうえなく楽しそうに演奏しているのを見ます。
 
どうせもう病気で弾けないのだからと、姉妹の復学を認めようとしない学長。
そのときのカトリーヌの頼もしさと言ったら。笑ってしまいました。素晴らしい。
 
クレール役のカミーユ・ラザとジャンヌ役のメラニー・ロベールのダブル主演。
セルジュにはフランク・デュボスク、カトリーヌにはイザベル・カレ
フィッシャー先生役のエリザ・ダウティもすごくよかった。
 
障害があっても弾きたいという強い気持ち。とても好きな作品になりました。

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