夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ボクは坊さん。』

2015年10月31日 | 映画(は行)
『ボクは坊さん。』
監督:真壁幸紀
出演:伊藤淳史,山本美月,溝端淳平,渡辺大知,遠藤雄弥,駒木根隆介,
   品川徹,松金よね子,濱田岳,松田美由紀,イッセー尾形他

前述の『ヴィジット』鑑賞後、TOHOシネマズなんば別館へ。
火曜日の夜もミナミの商店街は観光客(おもに中国人)だらけ。
なぜにこの人たちはこんなに元気?

『ヴィジット』をその日観る最後の作品にすると、
怖すぎるババァの顔が夢に出てきそう。
というわけで、穏やかな気持ちになれそうな本作を選択しました。
24歳で住職となった白川密成の同名エッセイの映画化です。

愛媛県今治市の栄福寺は、四国八十八箇所霊場の第57番札所。
この寺に生まれ育った白方進(伊藤淳史)は、高野山大学を卒業。
厳しい修行に耐えて僧侶の資格を得たものの、
坊主になる決心はつかないまま、地元の書店で働いている。

幼なじみの越智京子(山本美月)と桧垣真治(溝端淳平)が書店に顔を出し、
いったいいつ坊主になるんだと責める。
やはり寺に生まれた同級生、峰岸孝典(渡辺大知)は坊主になったが、
栗本広太(濱田岳)は一般企業に勤め、進と電話でぼやき合う今日この頃。

ところがある日、栄福寺の住職を務める祖父(品川徹)が病に倒れる。
祖母(松金よね子)、父(有薗芳記)、母(松田美由紀)からは何も言われないが、
幼い頃に祖父と過ごした日々を思い出した進は、寺を継ぐ決意をする。

名前を「進」から「光円」に改名し、栄福寺の住職に。
しかし、知っているようで知らなかったお寺の世界に驚くばかり。
あまりの頼りなさに長老(イッセー尾形)をはじめとする檀家衆は呆れ顔だが、
大学では教えてくれないお布施のことなど、
常識だ当たり前だと言われても進には初耳で困り果てる。

すっかり自信をなくしていた進に追い打ちをかけるように、
ひそかに想いを寄せていた京子の結婚宣言。
しかも京子は結婚式を栄福寺で挙げたいと言いだし……。

巷で『図書館戦争 THE LAST MISSION』が高評価を得ていることを知り、
へ~、そうなのかぁと冷め気味でした。
本作はそれに次ぐ勢いの高評価で、点数自体はどうなんだと疑問ではありますが、
子どもの頃、毎夏高野山へ行ってお寺に宿泊していたゆえの懐かしさも手伝い、
少なくとも『図書館戦争』よりはこちらが私はオススメ。

普段は知る由もないお寺の世界が、面白可笑しく、時には切なく描かれています。
お坊さんグッズのカタログにはお坊さん専用バリカン。なるほど。
寺用の会計ソフトはその名も「副住職」。ほんまかいな。
アル中の男が孫を大事そうに抱くシーンと、長老の言葉が思い出されるシーンは泣きました。
真壁幸紀監督の長編映画デビュー作なのだそうで、今後も無難に良い作品を撮りそうな予感。

生臭坊主なんて言うけれど、世の中に楽なだけの仕事はそうそうない。

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