『東京難民』
監督:佐々部清
出演:中村蒼,大塚千弘,青柳翔,山本美月,中尾明慶,吹越満,
福士誠治,津田寛治,小市慢太郎,金子ノブアキ,井上順他
二日酔いのうえに左目が痛かったにもかかわらず『ホビット 竜に奪われた王国』を観て、
またしても帰りが遅くなった翌日は、休みを取っていました。
夜に友人の息子が出演するライブを聴きに中津へ行く予定で、
友人と会うまでに3本は観られるだろうと計画。
二日酔いになる前に立てていた計画では、本作はこの前日になんばで観る予定でした。
この日はふだんの出勤時刻と変わらない時間に家を出るつもりでしたが、
なんぼなんでもこのままでは体を壊しそう。
酒と映画で体をこわしてはシャレにならんと予定変更。
ちょっとゆっくりめの10:00上映開始の本作をTOHOシネマズ梅田別館アネックスにて。
父親からの仕送りで、何の心配もないお気楽な毎日を送っていた大学生、時枝修。
ある日、普通に大学へ行き、教室に入ろうとすると、IDカード無効の表示。
学生課へ駆け込むと、学費が未納のためにすでに除籍処分になっていると言う。
納入の猶予期限も過ぎているらしく、職員はとりつく島もない態度。
父親に電話をするが連絡が取れず、実家に帰ると空き家で差し押さえられていた。
マンションも家賃未納で退去を通告され、外出している間に閉め出されてしまう。
自分とは無縁だと思っていたネットカフェで夜を過ごすことに。
住所不定では就職も見込めず、日払いのバイトを見つけるしかない。
そんなふうに日々を食いつなぎながら、治験の高額報酬バイトを発見。
3食付きで風呂もベッドもある入院治験で10日間。
報酬を手に今日ぐらいは贅沢をしようと町を歩いていると、警官から職務質問を受ける。
理不尽な扱いに悔しさがこみ上げていた修に、瑠衣という可愛い女性が声をかけてくる。
おごるから飲みに行こうと言われて、連れて行かれたのはホストクラブ。
酔いつぶれた修の目の前には何十万という金額が書かれた請求書が。
払えるわけがないと、修は土下座してホストクラブで働くことを志願。
ホストにはおよそふさわしくないと思われていたが、看護師の茜が彼を指名するようになり……。
現在、上映は日に1回のみで、客もほとんどいないだろうと思っていたら、そこそこ。
年輩のお客さんの姿もちらほら見えて、何に惹かれての本作なのか不思議でした。
そうしたら、途中で退出したまま戻ってこなかった年輩客3名。
内容をまったく知らずに観に来られたのでしょうか。
確かに途中で帰りたくなるのもわからないではないほど暗いです。
売れっ子のホストであっても寮とは名ばかりの部屋に押し込まれ、
連日しこたま酒を飲まなければなりません。
客の前で酔い潰れることは当然ながら許されず、何かと罰金を払わされる。
自分の客が上客とみなされれば、その客は「つけ」が利くようになりますが、
何百万円ものつけを踏み倒して行方をくらます客も珍しくない。
その客の肩代わりをさせられるのは担当のホスト。
先輩ホストをかばったがゆえに半殺しにされた修は、やがてホームレスに。
死んだほうがマシだと思っても、簡単には死ねません。
「僕はもう終わっているんです」。
そうつぶやく修に、彼を助けたホームレスで、息子を亡くした鈴本は、
「死んでもいないのに、終わっているなんてことはないんだよ」。
風俗嬢に身を落とした茜のもとを訪ねた修が、何度も何度も茜に詫びながら、
「生きていてもいいですか」と言うシーンには涙がこぼれました。
ちょうどこの数日前にFM COCOLOでかかっていた中原理恵の『東京ららばい』。
それが頭の中で流れると同時に思い出すのが、先月読んだ荻原浩の『砂の王国』。
心に風が吹きすさび、ヒリヒリします。
それでも人は生きてゆく。
本当に暗いけど、顔を上げて土手の坂道をのぼってゆくラストシーンに光が射します。
私は好きな作品でした。中村蒼くん、○。
監督:佐々部清
出演:中村蒼,大塚千弘,青柳翔,山本美月,中尾明慶,吹越満,
福士誠治,津田寛治,小市慢太郎,金子ノブアキ,井上順他
二日酔いのうえに左目が痛かったにもかかわらず『ホビット 竜に奪われた王国』を観て、
またしても帰りが遅くなった翌日は、休みを取っていました。
夜に友人の息子が出演するライブを聴きに中津へ行く予定で、
友人と会うまでに3本は観られるだろうと計画。
二日酔いになる前に立てていた計画では、本作はこの前日になんばで観る予定でした。
この日はふだんの出勤時刻と変わらない時間に家を出るつもりでしたが、
なんぼなんでもこのままでは体を壊しそう。
酒と映画で体をこわしてはシャレにならんと予定変更。
ちょっとゆっくりめの10:00上映開始の本作をTOHOシネマズ梅田別館アネックスにて。
父親からの仕送りで、何の心配もないお気楽な毎日を送っていた大学生、時枝修。
ある日、普通に大学へ行き、教室に入ろうとすると、IDカード無効の表示。
学生課へ駆け込むと、学費が未納のためにすでに除籍処分になっていると言う。
納入の猶予期限も過ぎているらしく、職員はとりつく島もない態度。
父親に電話をするが連絡が取れず、実家に帰ると空き家で差し押さえられていた。
マンションも家賃未納で退去を通告され、外出している間に閉め出されてしまう。
自分とは無縁だと思っていたネットカフェで夜を過ごすことに。
住所不定では就職も見込めず、日払いのバイトを見つけるしかない。
そんなふうに日々を食いつなぎながら、治験の高額報酬バイトを発見。
3食付きで風呂もベッドもある入院治験で10日間。
報酬を手に今日ぐらいは贅沢をしようと町を歩いていると、警官から職務質問を受ける。
理不尽な扱いに悔しさがこみ上げていた修に、瑠衣という可愛い女性が声をかけてくる。
おごるから飲みに行こうと言われて、連れて行かれたのはホストクラブ。
酔いつぶれた修の目の前には何十万という金額が書かれた請求書が。
払えるわけがないと、修は土下座してホストクラブで働くことを志願。
ホストにはおよそふさわしくないと思われていたが、看護師の茜が彼を指名するようになり……。
現在、上映は日に1回のみで、客もほとんどいないだろうと思っていたら、そこそこ。
年輩のお客さんの姿もちらほら見えて、何に惹かれての本作なのか不思議でした。
そうしたら、途中で退出したまま戻ってこなかった年輩客3名。
内容をまったく知らずに観に来られたのでしょうか。
確かに途中で帰りたくなるのもわからないではないほど暗いです。
売れっ子のホストであっても寮とは名ばかりの部屋に押し込まれ、
連日しこたま酒を飲まなければなりません。
客の前で酔い潰れることは当然ながら許されず、何かと罰金を払わされる。
自分の客が上客とみなされれば、その客は「つけ」が利くようになりますが、
何百万円ものつけを踏み倒して行方をくらます客も珍しくない。
その客の肩代わりをさせられるのは担当のホスト。
先輩ホストをかばったがゆえに半殺しにされた修は、やがてホームレスに。
死んだほうがマシだと思っても、簡単には死ねません。
「僕はもう終わっているんです」。
そうつぶやく修に、彼を助けたホームレスで、息子を亡くした鈴本は、
「死んでもいないのに、終わっているなんてことはないんだよ」。
風俗嬢に身を落とした茜のもとを訪ねた修が、何度も何度も茜に詫びながら、
「生きていてもいいですか」と言うシーンには涙がこぼれました。
ちょうどこの数日前にFM COCOLOでかかっていた中原理恵の『東京ららばい』。
それが頭の中で流れると同時に思い出すのが、先月読んだ荻原浩の『砂の王国』。
心に風が吹きすさび、ヒリヒリします。
それでも人は生きてゆく。
本当に暗いけど、顔を上げて土手の坂道をのぼってゆくラストシーンに光が射します。
私は好きな作品でした。中村蒼くん、○。