♪福士加代子選手に、過去の私を見た！

昼間は所用でテレビを見られず、夜のニュースで、福士選手の１９位ゴールを知った。 ゴールまでに、無念の転倒が４回！ 転んでも転んでもなお、起き上がりゴールにたどり着いた彼女の不屈の闘志を讃えるにやぶさかではないが、この無残な失敗は、明らかな監督の戦略・戦術ミスである。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１月２７日（日）

「２００８大阪国際女子マラソン」が開催された。

新聞社勤務時代、フジサンケイグループも主催している関係で、第１回から３回まで裏方で関わったこのレース。　今日は、ハーフマラソン、５０００メートルなどの日本記録を保持、スポーツマスコミから　「トラックの女王」　の名で呼ばれる福士加代子選手（ワコール)が、今回フルマラソン初挑戦とのことで、大方の話題を集めていた。

レース序盤は独走したものの、３０㌔を越えてから失速し、無念の結果に終わったのは、大方がご覧になったとおりである。
国内無敵のトラック・クィーンが初挑戦で味わった　「４２,１９５㌔」　を走り抜く厳しさと残酷さ。

「あんなにバネを使ってちゃムリ。　最後まで絶対に保たない。　３０キロ過ぎたらペースダウンするよ」。　　シドニー五輪金メダルの高橋尚子選手を育てた小出義雄監督が、スタート直後の福士の走りをこのように分析されたと漏れ聞いたが、４２,１９５㌔を走りぬく走力と気力は尋常のレベルでは保たない。

わずかな練習期間と、最長でも３０㌔しか走りぬいてないという福士選手をハードなマラソンに駆り立てたものは、何か？
チャレンジさせた者は、誰か？

少なくとも、「無謀だ！」　、いえ、「準備不足だ！」　との理由で、出場を止めることは出来たはず。　そう、ワコールの永山忠幸監督。　なぜかなぁ？

新春の大阪・なにわ路を舞台に繰り広げられる国際マラソンは、１９８２年から開催され、ただし、第１回～第３回は　「大阪女子マラソン」　の名称で実施され、国際の名称を取得して　「大阪国際女子マラソン」　と改称されたのは、１９８５年の第４回大会からである。

その第２回大会に、リビング新聞　(東京)　の石川郁子記者が一般参加されると聞き、当時、私の上司で文章道の師匠と仰いでいた、今給黎久編成局長の姉妹弟子　(私が妹ですぅ。…ふふ)　で、仲良くしていただいていたご縁から、裏方をしながら応援をした。

「欲しいものは？」　と事前に訊ねたら、「お餅」　とのことで、お弁当のジャーに清汁を入れ、焼餅と青菜と蒲鉾を、温めて持参した。
「腹保ちと消化が良いので、お餅だけいただくわ」

トランクスの内側には小さい袋を縫いつけ、中にキャラメルを忍ばせ、沿道に置くスペシャルドリンクの配置にも、気を配っておられた。
今も、”走るジャーナリスト”　としてご活躍の石川さんの、四半世紀前の姿がありありと目に浮かぶ。

この大会で、期待の益田明美選手が無念の途中棄権を已む無くされ、沿道も裏方も、「え～っ！」　　と悲鳴をあげ、マラソンロードに棲む魔物の存在を知った。
もっとも益田選手は、翌年の第３回大会で、カトリン・ドーレ　(東ドイツ)　と競り合い、２４秒遅れの２位を勝ち取る快挙で、リベンジを果たして今に至っておられる…。

過去の先輩に倣って、福士選手のリベンジに期待しつつ、対象を甘く見て大きなツケを払った彼女に、がん発症の頃の自分を見る思い…。