10月5日(日)大府市内のため池で、住民参加による「池干し」がありました。
池干しの様子
知多半島は、水にとても苦労した地域であり、いたる所に「ため池」があります。そして、ため池の管理と地域のイベント、そして蛋白質確保のため、地域住民が自発的(?)に定期的(1~2年ごと)な「池干し」が行われてきました。
ただし、これは愛知用水ができるまでのこと。必要性の低くなった「ため池」はあまり顧みられなくなり、昭和40年代の水質汚染も重なったことで、「池干し」が行われなくなりました。
じつは、このため池で「池干し」が行われたのは8年ぶりのこと。しかも行政主催での「イベント」としてです。
住民参加の池干し
地域住民。特に多くの親子連れの参加もあり、この種のイベントとしてはある程度成功したのでしょう。
しかし、捕獲された魚種は、駆除対象の外来種「ブラックバス」とほとんどが30cm以上のサイズの「ヘラブナ」「コイ」「ソウギョ」と若干のモロコの仲間の稚魚とカワヨシノボリなどです。
ヘラブナとソウギョ
ここで気がつかれた方もあるとおもいますが、実はこの捕獲された魚種とサイズには大きな問題点があります。
「ブラックバス」はもちろん外来種と認識されたいますが、「ヘラブナ」はゲンゴロウブナを品種改良した飼育種。「ソウギョ」日本では繁殖が困難な、中国からの外来種。さらに在来種と思われがちな「コイ」も、日本の河川や湖沼にいるもののほとんどは、中国由来の遺伝子を持つ種だそうです。さらに「コイ」は泥の中に棲む「底性生物」を根こそぎ食べてしまう、「生態系の破壊者」として認識され始めています。
また、捕獲された魚のサイズですが、3cm~25cm程の大きさの魚は、ほとんどいませんでした。これはブラックバスが捕食できない大きさのものしか、このため池では「生き残れない」ことを意味しています。
ブラックバス
今回このため池で捕獲された最大のブラックバスは55cmありました。ブルーギルは確認されませんでしたが、中・小型の魚は、ブルーギルでさえブラックバスの餌として捕食されてしまったことが考えられます。
今回の「池干し」ではっきり確認されたことは、このため池に棲む魚類のほとんどが「外来種である。」ということです。
このため池は今回の池干しの後には、浚せつ工事が行われ、隣接する小学校のプールに一時避難したブラックバス以外の「在来魚(?)」は、浚せつ工事が終わる5月頃には再び戻されるそうです。
しかし、このため池、水源を愛知用水に頼っています。しかも愛知用水にはブラックバスやブラックバスなどの外来魚がたくさん棲息しています。
愛知用水の水が導水された、また何年も放置されたらどうなるのかは、想像に難くないことでしょう。
まさに、水棲の生態系と外来種問題の根深さを痛感させられる「池干し」イベントでした。