自然と風を感じて…

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矢並湿地の一般公開

2008-10-18 05:07:27 | 自然

 矢並湿地

 10月11日(土)の西三河自然観察会終了後、同じく豊田市内にある矢並湿地が一般公開されているとのことで、見物(?)に行ってきました。

 ミカワシオガマとシラタマホシクサ

 矢並湿地は、年に1回、10月初旬のこの時期にだけ一般公開されます。
 ミカワオガマやシラタマホシクサなど東海丘陵要素の植物たちが残されている、数少なくなってしまった湿地です。

 東海地方は、生物層から見ると、主に本州西部に棲息する生き物と本州東部に棲息する生き物が混在している場所です。つまり、東海地方を境にせめぎ合いをしていると言い換えてもいいと思います。そして元々この地方に棲息していた生き物たちも、この生存競争に巻き込まれ、生息条件の厳しい湿地などに追いやられました。そこで生き残ったものたちが「東海丘陵要素植物群」といわれています。

 また、湿地という場所は、水が比較的多い場所であることから、イネの棲息に適した場所でもあります。つまり田んぼとして利用しやすい場所であることから、農地としての開発が進み、ほとんど残されていません。

 矢並湿地については地元の方たちが、熱心な保護活動を進められています。ラムサール条約の登録湿地にという動きもありますが、湿地の規模などいくつもの課題があるとのことです。

 愛知県内の自然は開発によって分断されています。この矢並湿地に限らず、特に湿地性の生き物たちは、狭く限られたエリア内で遺伝子的に特化されていくことでしょう。特に移動手段を持たない植物や、行動範囲の狭いハッチョウトンボやヒメタイコウチなどの昆虫類は、その傾向が顕著に表れ、何らかの環境変化が加えられると、地域的に絶滅してしまう可能性さえあります。

 ラムサール条約がなぜ注目されているかといえば、ラムサール条約しか湿地を守る枠組みがないからです。矢並湿地やそれ以外の湿地を見ていると、ラムサール条約以外に地域に残された湿地や自然を守る枠組みが必要であると感じてしまいます。