おかげさまで生きてます

日々の暮らしのなかで

トップガン

2006年10月30日 | 日記・エッセイ・コラム
彼の目的は何だったのだろうか?

仕事帰り。
最短距離で走れば、10分もかからない自宅までの道のり。
しかし、忙しかった時間から解放された僕は、
ショッピングを楽しんだりする時間を求めて、少しだけ遠回りをする。

中学生の時には、汽車で通った繁華街。
すごい都会だと思っていた場所は、いまでは人もまばらな繁華街。

この街のメインストリート、僅か数百メートル。
さびれた映画館と、バーが5、6軒。

浜田省吾の「MONEY」の舞台になったような街。

そこを車で流す。

いろんな人に出会う楽しみもある。

そんな中、面白いドライバーに出会った。

30キロほどの速度で、ノロノロと走る車。

その車を先頭に長い列が出来ている。

(なんやぁ! あれ?)

しばらく見ていると、何もない所で、頻繁にブレーキを踏む。
交差点でもなく、店があるわけでもなく、
もちろん、通行人や自転車も走っていない。

そのまま付いて走っていると、1台、また1台と細い路地へと
曲がって行く。
そしてその車の真後ろに僕の車が付く事になった。

交差点。信号待ち。

その車のドライバーは、年の頃なら50歳代だろうか。

彼は頻繁に頭を動かす。
激しく動かしている。

(何を探しているのか?)

僕もいっしょに何かを探してあげようと思うくらい、
そして、いつの間にか僕もその視線の先が気になってきた。

信号が青になり車が動き出す。

しかし、彼は車を走らせながらも頭を激しく動かす。

それはまるで

トップガンのマーヴェリックが教官の機体を探すがごとく、
横は勿論、後ろに振り返り、または上空を見上げている。
何かを見つけるために必死だ。

車の運転席と言うよりは、戦闘機のコクピットのような感じ。

自然と、僕の頭のなかには空母を飛び立つシーンと主題歌が流れてくる。

その光景を冷静に見ている僕は、さしずめアイスマンだろうか。

僕の行く道をいつまでも先導していたその車は、
寿司屋らが並ぶテナントの駐車場へ入っていった。

もちろん、それが探していた所かどうかは定かでない。
方向転換をしただけかも知れない。

僕は、その後の彼の行動を見る事は止めた。
疲れたから。

僕の記憶が確かなら、彼を見かけたのはこれが始めてではない。

その時も、何かを探して彷徨っていたように思う。

彼はいつになったら、目的の地に辿り着けるのだろうか?
 




コメント
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