おかげさまで生きてます

日々の暮らしのなかで

好物

2006年06月30日 | 食・レシピ
“あるモノ”が無性に食べたくなる。そんな経験は誰でもあるだろう。

「ポテトサラダが食べたい!」

昨日の仕事中、急にそんな思いが沸き上がってきた。
思えば思う程、あの「柔らかい」食間が頭の中を支配していく。
ドーパミン出まくりの興奮状態である。

しかしこれ、実に厄介な思いである。

僕の数ある好物の中でも、トップクラスにランクされる「ポテトサラダ」だが、
これを腹一杯食べるのは、中々できない贅沢だからだ。

コンビニやスーパーで売っている惣菜の量では、満足する事の出来ない欲求。
自家製でも無い限り、この欲求を満たす事が出来ない。

“好きなモノを最初に食べるか、最後に残しておくか?”

こう聞かれれば、僕は迷わず、

「取っておきます!」

と答える。
よく食事に一緒に行く人から見れば、たぶん「嘘ぉ!」って思われるだろう。

小さい時から「外食」と言えば、フライ物を注文していた。
松本人志の「チキンライス」じゃないけど、外食に連れて行ってもらったときは
いつも「トンカツ定食」を頼んでいた。

「お子ちゃまの口を持つ男」として成長した今でも、寿司や焼肉よりは
ファミレスに行って、エビフライやトンカツを食べる。
そして真っ先に手をつけるのは「フライ物」だ。

しかし、僕にとっては、「メイン=好物」はこれじゃない。
トンカツの横に遠慮がちにひっそりと佇む「ポテトサラダ」こそが「メイン」なのだ。

僕にとっては決して「箸休め」ではない。ポテトサラダは最後に食する。

昨日はそんなポテトサラダが無性に食べたくなった。

帰りに何時ものコンビニに立ち寄る。
しかし、こんな日に限って売っていない。
あわてて向いのスーパーに立ち寄るものの、そこにもない!

こうなると食べるまでは、僕の脳は行動をやめない。
ポテトサラダを探して彷徨う事になる。
だが! 僕の思いを察知した誰かが買い占めてしまったのか、何処にもない。

こうなると意地だ。車を飛ばして色んな店の捜査開始。
やっとの思いで見つける事が出来た。しかも嬉しい事に値引きしてある。

「こいつ~!」

しばらく会えずにいた恋人のように、愛おしく抱き締める。
家までの道のりも楽しい。

念願かなって「ポテトサラダ」が食べられる。
ちょっと遅くなった晩飯を食べるために食卓へ。

しかし、今までの高揚感が嘘の様に、僕は絶句して立ち尽してしまった。
食卓の上には「ポテトサラダ」があった。

僕の思いを察知していたのは、もっとも身近な人だった。








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愉快な仲間たち その2

2006年06月29日 | 日記・エッセイ・コラム
   最近ふと思うのだ。
   そう言えば私は子供の頃、何になりたかったんだろう。
   どんな人に、私はなりたかったんだろう。


2つ年下の彼は、独特な“リズム”を持った男だ。
笑いのツボも激しくみんなと違う。そして含み笑い。
色々な場面で彼は独特の雰囲気をかもし出す。

彼はみんなに「デンテツ」と呼ばれている。中には略して「デン」と呼び捨てに
するヤツもいるし、「デンちゃん」と可愛く呼ぶ事もある。

彼は驚いた時には

「あいやー!」

と叫ぶ。決して帰国子女でもない。中近東風の顔を持つ男だが日本人だ。
それが独特の発音で

「あいやー!」

と叫ぶ。一度や二度は面白いが、うけていると思って続けると

「もうええねん!」

とダメ出しされる始末。でもこれ、面白がって囃し立ててるの周りなんですけど^^;

消防団に入っていた時には、よくカブ札を使って遊んだものだ。
デンちゃんは、「役」がつかないと勝負をしない。だから、勝つ時は大勝が多い。

みんなでスキーに行った事があった。
夜にする事がないんでカブ札で遊ぼうって事になった。
が、しかし!ゲームを進める為のコインがない。捜し廻ったが何もない。
仕方なく僕達は「ポップコーン」をコインの代わりに使う事にした。

徐々に盛り上がるゲーム!何時間ぐらいしていただろうか?
段々飽きて来た時に、一番負けている奴が目の前の「ポップコーン」を食べ出した。

「おいおい!」

と注意する所だが、同じように食べてみると、何とも言えない「笑い」がこみ上げる。
みんな飽きてたんだろう。
笑顔で食べ続けていると、デンちゃんが一言、喝を入れた。


「ベシッ!」


その「発音」「間合い」そしてゼスチャーも交えた“喝”に大爆笑で腹を抱えた。
あの場にいれば、誰もが爆笑していたはずだ。

彼はデンテツと呼ばれている。何故か?簡単なことだ。
彼は電鉄会社に勤めている。

いっしょに遊んだ記憶は少ないが、家が近所だったので、小さい頃から知っている。
消防団の入団の日、何年ぶりかに彼に出会った。

「ひさしぶりやなぁ~、今、何してんの?」
「電鉄会社に勤務してます」
「おーーーーー!」


冒頭の言葉は、テレビドラマ「彼女たちの時代」の最初の台詞である。


思えばデンテツは小学校の頃から「電車」が好きだった。
たしかに、スポーツ選手やアイドル歌手に憧れたって、それを実現する人は少ない。
電車の運転手になることは、それに比べれば、努力しだいで何とかなるかも知れない。

ただ、小さい頃から憧れ続けた仕事を彼はしている。

リズム感が悪くても、「間」の悪い会話をしても、彼がみんなに好かれるのは
そんな男だからだと思う。






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トンネル

2006年06月27日 | 本と雑誌
梅雨を通り抜ければ、“熱い”夏がやってくる。

熱戦がまだまだ続いているワールドカップ。今回は日本代表の試合も
殆ど観戦したが、どうも個人的には「サポーター」のテンションについていけない。

「騒ぎたいだけちゃうん?」

そんな目で見ていたが、ちょっと視点を変えて、

“青いジャージを着た阪神ファン”

と思ってみると、いかにも楽しそうな画面に見えるから不思議だ。

「愛国心」
サポーターの熱狂を見ていて、そんな言葉が浮かぶ。
それがあっているのか分からないけど、似たような思いになる事がある。

夏の高校野球。スター選手や強豪校が登場すれば、注目してみるが、
それ以外にも「地元チーム」の勝敗が気になる。

「郷土愛」

ずっと地元に住んでいれば分からないが、故郷を離れて暮していると、
出場校を通して、懐かしい地元の事が浮かぶ。自分の「出身校」でなくても
気になる。

ワールドカップは「勝たなくてはいけない」もんだろう。
高校野球にしてもそれは目標であるけど、ここまで心を“揺さぶる”存在で
あり続けるのは、負けたチームにもドラマがあるからだと思う。

「敗者の美学」

とまでは言わないが、そのドラマに惹かれる事があるのも事実だ。

ここに一冊の本がある。
島津愛介氏著「敗け組甲子園」

題名通り、熱戦の末、甲子園から去っていったチームの記録である。

少し紹介してみよう。
 
 “その時、テレビカメラはバックホームのため突っ込んで来た中堅手の動きを、
  クローズアップでとらえていた。
  捕球態勢にはいる。  そして、返球。

  一瞬、球場全体を静寂がおおった。
  
  間をおいて、悲鳴のまじった歓声がゆっくりと湧きあがっていた。
  
  だが、テレビはまだ一瞬の静寂の謎が解けない。予定通りのカメラ割りで、
  本塁でのクロスプレーを狙って切り替わる。
  そこには、歓喜のガッツポーズで駆け抜けるランナーの姿があるだけだった。

  あわてて、テレビカメラは白球の行方を追い掛けた。NHKに相応しくないような
  ぎくしゃくとした画面の乱れを垣間見せたあと、カメラはようやく納得した。

  サヨナラゲーム

  中堅手は捕りそこねたのだった。落ち着きを取り戻した画面の中を、
  その背番号8番が必死に駆けていく。

  それはなんとなく悲しく、残酷な映像であった。”


収録されているドキュメンタリー「トンネル」の冒頭である。
この他にも、
「落球」「一瞬のマウンド」「PL学園をあわてさせた男」「全力疾走」など。

すでに沖縄では予選が始まっている。
ぞくぞくと「おらがチーム」の予選も始まっていく。

今年の夏もいつもと変わらない。
この夏が終わるまでに一度も負けないのはたった「一校」だけだ。

そして、その「一校」以外は、この夏に「一度」だけ負ける。

負ければ終わりの高校野球。
今年もそんな“熱い夏”がもうすぐやってくる。








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オシム

2006年06月26日 | スポーツ
僕が思うなりに「日本代表」について語ってみよう。

最初にいっておくが、僕はサッカーにおいては「シロウト」である。
戦術なんてまったく分からないし、凄いシュートを見ても

「これ、凄く難しいシュートですよ!」

と、解説者が言っているのを聞いてから、

「うん、うん、凄いね。やっぱり!」

って納得するタイプ。

そんな僕がテレビを見ていて、非常に気になる事がある。
それは解説者や選手たちのコメントである。

日本代表は、シロウトの僕が見ていても、年々、楽しみなチームになっていると
思っている。個々のレベルは分からない事もあるが、興味が湧く選手は
確実に増えている。

チームとしてのレベルも多少は進歩を続けていると信じている。

しかし、しかしだ。
コメントを聞いていると、まったく「進歩」していない。

今回1勝することもなく、ドイツから帰ってきた代表チーム。
それを受けて解説者が、眉間にシワをつくり、とつとつと喋る。

「世界とのレベル差は、思っていた以上に縮まっていない。」


はぁ?


何年前から言ってる?この台詞。
負ける度に、この「台詞」を言ってないか?

試合前には、海外でプレーする選手が増えただの、
世界レベルで見ても遜色ないフリーキックが出来る選手がいる!とか、
言っておきながら、最後はいつもこうだ。

そりゃ、始まる前から「ダメだ、勝てるわけがない!」とは言わないだろう。
言えないだろう。
でも、進歩しているなら、「あとは○○を確実にすること!」とか、
課題が見えてくるモノだと思うンだけど。

選手にしてもそう。
悔しいのは分かる。応援している僕達より、本当に悔しいのは選手だ。

でもね、マイクを向けられる度に

「何が足りないのか反省して、今後につなげたい」


えっ?


まだ、分からないの?って感じだ。
何回、世界の壁に跳ね返されたら分かるンだぁ?

ブラジル等の南米勢、イタリア等の欧州勢からくらべれば
アジア諸国はサッカーにおいて「後進国」だってことは誰もが認めてる事だろ。

先進国に追い付くだけでも、一緒の事をしてたんじゃ時間がかかるのは
当り前じゃないか。追い抜くには、何倍もの知恵と努力が必要だろ?

今回のメンバー23名のうち、次回「南アフリカ大会」に出場する選手は
半分もいないだろう。
いや、半分もいては、それこそ「進歩」がない。

仮に3名だけを残し、20名が新たに選ばれたとしよう。
そして仮に、決勝トーナメントに進出出来なかったとしよう。

その時に解説者にマイクを向けたとしよう。
選手にマイクを向けたとしよう。

僕にはどうしても今回と同じような「台詞」を繰り返す気がしてならない。

スター選手だった“ジーコ”の後任は、名将“オシム”が就任するようだ。
今はもちろん期待しているが、何も始まっていない段階での期待はどうかな?
4年後、「期待感」だけが先走り、負けた時に、また同じ事になるんだろうか?


「オシムではダメだ!」


監督批判や、サポーターが騒ぎをおこす。
プレー以外の事は「先進国」をお手本に確実に「進歩」しているのに。







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愉快な仲間たち その1

2006年06月23日 | 日記・エッセイ・コラム
ふと、昔の事を思い出す時があって、懐かしい人の顔が浮かぶ。

Tさん。
会社に勤めていた時に一緒に働いていた人だ。
中途採用で、僕よりも2~3歳年上だった。

ガチャピンのようなクリクリした目が特徴で、色白の顔にホッペだけが
ほんのり赤く、首をすくめて飛ぶように歩く人だった。

内向的な性格で、声も小さく、何事においても自信無さ気に仕事をする人だ。
それで居て憎めない(上司は違ったと思うが)性格で、
マスコット的存在だった。

ある日、
「T君、カーペットが剥がれてるから直しといて!」

Tさんは小さく頷くと、手にガムテープを握り締め修繕に向かう。

「こらこら、そんなんあかんやろ!」
課長の声が飛ぶ。そりゃそうだろ!剥がれてるカーペットの修繕がガムテープ?

「Tさん、しっかりしてよ!」

周りの僕達もTさんを叱咤激励する。

「うん」

あくまでもマイペースなTさんは、またまた小さく頷くと
今度は両面テープを手に剥がれたカーペットに向かった。

Tさんたら!てな感じで僕達は仕事を進めていると、
今度は課長の笑い声が聞こえてきた。

「Tくん、これでええと思うか?」

普段、クールで通っている課長が涙を流して笑っている。
周りの皆が「何事か?」と言った表情で課長とTさんが立っているところへ向かう。

修繕されたカーペット。
それを見た瞬間、僕達も笑ってしまった。

Tさんが行った修理行程はこうだ。

・剥がれたカーペットを元通りに押さえつける。
・その“上”に両面テープを貼付ける。
・丁寧に何度もその上を押さえ、しっかりと貼付ける。
・そしておもむろに、“両面テープ”のもう片方を剥がす。

「ゴキブリホイホイやないんやから!」

課長の一言に、僕達も涙を流して笑った。
当の本人はと言うと、何故笑われているのか分からないように立ち尽くている。

最年少のS君が、
「Tさん、こうするんやで!」
と、両面テープを使って見事にカーペットを床に貼付けた。

「あっ」

Tさんは小さく驚嘆の声を上げた。

とにかくTさんには逸話が多い。
一冊の本が出来上がるほどに。

次回も乞う御期待!









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