Michiyo Kamei "Shape of life"いのちのかたち  

画家 亀井三千代 記
「身体曼荼羅」春画と解剖図
michiyokamei diary

眠れぬ夜

2010年07月12日 02時37分44秒 | 日記

時々眠れなくなる。

原因はわかっている。
あの絵を見ると、眠れなくなるのだ。

私は、毎朝5時か5時半に起きる。
だから夜は比較的早く寝るようにしているのに、
ある作家の絵を見ると
必ず眠れなくなってしまう。

作家の名は山田宴三。
日本画家である。
現存作家では、最も尊敬している人だ。
また、私に「絵」というものを
教えてくれている人でもある。
この人を知れば知るほど
作家という生き物が見えてくる。
それは、想像以上にうすら怖い魔物だ。

先日、また彼の作品を見る機会があった。
私は彼の作品が大好きだ。
黒と白のナマモノ。
うごめく、生きた平面。

それは墨を使った作品。
絵の中にたくさんの「何か」が見える。
その「何か」は絵を手がかりに
私の想像力が生んでいるものだ。

見た瞬間に絵との距離がわからなくなる。
上下とか、揺れるし。
一瞬全体を見てから、それから
絵の中の「何か」を眼でなぞる。
延々となぞる。
そのうち、それ以外の何も見えなくなり、
絵の中に閉じ込められて揺れ続けることになる。

私の眼が受けとった情報を脳が処理する。
ただそれだけのことなのに、
そのあと、私は眠れなくなる。

今夜も眠れない。

墨の絵の前で話をした。

「何がしたいのか?」
その問いかけに、うまく答えられなかった。
くやしかった。
家に戻り、必死に考えをまとめる…。

いつかもう一度聞いてほしい。
次はもっと上手に答えられるから。

山田宴三HP
http://enzoyamada.web.fc2.com/



最新の画像もっと見る