Michiyo Kamei "Shape of life"いのちのかたち  

画家 亀井三千代 記
「身体曼荼羅」春画と解剖図
michiyokamei diary

亀井三千代 HP/Michiyo Kamei official web site 

https://michika-6.wixsite.com/michiyokamei

解剖図の講座、やります。

2020年08月23日 08時22分00秒 | 水彩画教室

(画像クリックで詳細にとびます)
10月に解剖図の美術史講座(スライドレクチャー)を開講することになりました。
これは4月に一旦企画されましたが、コロナで延期になったものです。
再チャレンジ、どうぞよろしくお願いいたします。
以下 内容のご紹介。

【ルネサンス探訪 ・ 解剖図を生んだもう一つの美術史】
慶応大学文学部哲学科美学美術史専攻卒、画家 亀井 三千代
 14世紀~15世紀、イタリアルネサンスと呼ばれる時代は西洋哲学、美術、医学など様々な分野が一気に隆盛する華やかな時代でした。現在、医学書等に使用されている解剖図もこのルネサンスを基礎に開花したのです。これは医療機関を受診する私たちにも決して無関係ではありませんが、あまり知られていません。この講座では、解剖図を医学・美術の両分野が接して生まれた一つの芸術と捉え、それを軸に改めて西洋美術の流れを追っていきます。3回講座のおおよそのスケジュールをご紹介いたします(進行によって多少変わることもございます。ご了承ください)。

① 10/15 「ルネサンスとは何か」―まずはここからー
イタリアで起こったルネサンスとは?そこに至るまでの西洋史を足早に追います。
また西洋絵画を読み解く上で必要なイコノロジー(図像学)の知識をはじめに学んでおきましょう。
それからルネサンス期の芸術に多大な影響を及ぼした哲学、新プラントン主義の思想を簡単にご紹介いたします。
 1)   2)

② 11/19 「芸術・医学を開花させた新プラトン主義とは」
新プラトン主義がどのような価値転換を芸術に及ぼしたのか、デューラーとミケランジェロを例に見てまいります。
次にレオナルド・ダ・ヴィンチの解剖図をご紹介しながら、西洋医学と解剖学の歴史も簡単に見てまいりましょう。
新プラトン主義を転換点に近代解剖学が花開く、その軌跡をたどります。

  3)

③ 12/17 「A・ヴェサリウスの解剖図譜『ファブリカ』について」
近代解剖学は16世紀、ブリュッセルの医者・解剖学者のアンドレアス・ヴェサリウスから始まったと言われています。
この回ではいよいよヴェサリウスの美麗な解剖図譜『ファブリカ』をご覧いただきます。
天才ヴェサリウスの決して幸福とは言えない生涯、そして『ファブリカ』の思想とは…。
 4)

主催はよみうりカルチャー町屋
お問い合わせ、詳細はこちらから。
→★ ルネサンス探訪 ・ 解剖図を生んだもう一つの美術史




YouTube に上がりました。

2020年08月13日 11時48分08秒 | youtube michiyokamei

🧡インタビューがYouTubeに上がりました。
第18回Facebookライブ「お家時間の充実」インタビュー
テーマ「人間が人間を知りたい理由とは?ー画家の絶えない人間探求」
↓コチラからもご覧頂けます↓

1時間20分ほどと少し長いのでインデックス作りました。
参考にしていただき、飛ばし見でも面白いと思います。

・9分頃~30年程前、私はストリートで絵を見せていましたがその時にナビゲーターの星野まりなさんと出会いました。
この頃の写真や油絵作品について。
・20分頃~身体というテーマについて
・25分頃~東京医科歯科大学 解剖学教室時代について
・37分頃~春画との出合い
・53分頃~苦しかった時、出合いに助けられたこと
・1時間5分頃~人拓について
・1時間10分頃~コロナ禍中の体調不良の癒やし方をまりなさんからアドバイスいただきました

★開運カウンセラー・星野まりなさんの名ナビゲートのおかげでテンポ良いインタビューになりました。
 
このインタビューに備えて自分を掘り下げた時、人間を知る一つの方法として私は絵を選んだのだと気づきました。
質問には真摯に向き合いましたが、真面目くさく話すのが苦手で(多分照れ)結果「爆笑トーク」に…。
辛い時や嫌なことがあった時、気分転換に笑ってご覧頂けましたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m

https://www.youtube.com/watch?v=852H0j6kJWo
(音声にご注意下さい)


人拓『ドレスシリーズ』のステイトメント

2020年08月03日 10時00分46秒 | ステイトメント

★展覧会が終わってしまったらそのまま2度と浮上しない展覧会ステイトメントをアーカイブしていこうと思います。
お付き合いいただけましたら幸いです。画像はクリックすると拡大されます。
★HPを少しだけ更新いたしました。更新情報は、インタビューのユーチューブ版が出ましたのでリンクを貼っています。こちらもどうぞよろしくお願いいたします。→Michiyo Kamei HP  

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人拓『ドレス シリーズ』

 私は身体に興味があり、制作のベースは解剖学・解剖図にあります。
身体への興味の一つにはその境界性にあります。私と外部とを隔てる輪郭となる皮膚。
これは私の側でもあり自然の側でもある、この両方に接する身体を思う時、果たして私の身体とは何か、私とは何者で自然とは一体何かといった普遍的とも思える問いが立ち現れます。
私はその問いを念頭に「描く」という行為によって中と外を繋げ一つの世界を見てみたい、
その欲求をエネルギーに制作してまいりました。

 今回はその皮膚を使って制作いたしました。絵筆を使わず身体で絵を描く試みです。
とは言えこの行為がはたして絵画と言えるのか、それについてはじめは疑問を抱いていました。
おそらくこれは絵画にはなり得ないと。逆に私は絵画をどのように考えているのか。
  

 人拓の方法としてはとてもシンプルに、自分の身体に墨を塗り和紙に押しつけて形を取りました。
全身を和紙に投げ出して起き上がらないと形が分かりません。筆による加筆はせず、
線は垂れた墨が線状に足につたってできたもの、点は指で散らしました。

 通常どんな絵画でも絵具を置くその瞬間を見つめながら描いています。
絵画の場合、「見る」行為によって絵筆のその先端に生まれる画面を常に瞬間的に捉えて情報を脳に送り、イメージし、また筆先に戻すという連続したフィードバックを自分でも意識できないほどのスピードで行い、その超光速判断の積み重ねによって絵は完成されていくように思われます。

 ですが身体で制作する限り紙から身体を起こして初めて画面が目に入ります。
目に入ったときにはもう終わっている。途中のフィードバックがありません。
目は、起き上がってからそこに出来た身体のシミを見つめその形を捉え、そして初めて生まれたイメージは次の1枚に託されます。フィードバックは同じ画面の上では行われず分断されて次の絵に委ねられる。
ですので、この作品は連作のその全体で初めてイメージを持った絵画として意味をなすのではないか、今はそのように解釈しています。

  

 実感として、作品からは意外にも肉体性は感じられず、
たとえば服やコルセットのように「身体を包むもの」「身体が入って初めて意味のあるもの」のイメージを想起させられました。
真っ黒な身体を起こしてそこにできた空っぽの抜け殻のような形を見つめた時、それは私の外側の、もう一つの皮膚になり得るでしょうか。このシリーズを『ドレスシリーズ』と名づけることにいたしました。
 このシリーズは今後どのように展開できるか分かりませんが続けて取り組んでいきたいと考えています。亀井三千代