朝起きると、テーブルには、カトリーヌ作の器がたくさん並んでいた。
最初はカトリーヌのほうが、「ザ・フランス人」かと思っていたが、もしかしたらJ・フランソワのほうが、とこの滞在から思えてきたのだった。
カトリーヌは、ブルトン人ということで、バターは有塩バター、そしてJ・フランソワは多くのフランス人がそうであるように、無塩バターと二種類用意されていた。
ブルトン人のジェラールももちろん「有塩バター」だった。
多くのフランス人が無塩バターなのは、バゲットは食パンより塩分が多く、無塩のほうが美味しく感じられるのだと思う。有塩バターも粒入りで美味しいのだが、私もバゲットには断然、無塩バターだ。
有塩バターが出される家で、「もしかしてブルターニュ出身?」と聞くと,大概「ウイ」という。
食後、カトリーヌは、ハープシコードを弾いてくれた。とても優雅な音色だった。
バルコニーを見ると、Jフランソワの剣道着も置かれていた。背が高い彼は剣道では有利ではないかと思う。でもバシバシ「面」を取られるといって苦笑いしていた。
また彼は私が行くというと日本酒好きの彼は「大吟醸」をリクエストしていた。小さい瓶のを探して日本から持って行ったのだが
大喜びだった。
日本語も習っていて、カトリーヌも最近では一緒に習い始めたと聞いている。
そして、一緒にヴァンセンヌの森へ散歩に出かけることになった。
日本庭園のような物や盆栽まである。
実はここで、カトリーヌは、ソフィアン君についていろいろ話をしてくれた。
彼は日本人女性(彼が付き合っていた二人目の日本女性でドイツで知合った女性だった)との結婚が決まっていたのだが、突然のキャンセルで、かなりショックを受けたとのことだった。
もちろんそれはメールで知ってはいたが、「日本人はそういうことはよくあるの?」とカトリーヌは率直な感想を言い、私も同じ日本人だが、若い女性の気持ちは察することができない、特別なことであるとしか、答えられなかった。
でもそんな話をしてくれることで、カトリーヌとの距離を近く感じることになった。
本当は、次にランチの約束が控えていたのだが、なかなか別れがたく、この時点で時間は少しオーバーしてしまっていた。
次の約束の家に一番簡単に行けるであろうメトロ駅まで送ってもらった。