箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

すべてオンラインで就職します

2021年08月27日 11時25分00秒 | 教育・子育てあれこれ

わたしは、教頭・校長を務めているとき、高校入試の際の面接練習を何度も行いました。

オンラインではなく、すべて直接中学3年生との対面面接でした。

中学生は人生初の面接を受ける人が多く、緊張した面持ちで臨んでくれました。一生懸命に答えようとする子どもらしい態度は、わたしを何度もすがすがしい気持ちにさせてくれました。

また、中学3年生全員についてどんな生徒かを教頭や校長が知っているわけではありません。3年間で直接話したことがほとんどない生徒もいるわけです。

そのような生徒も含めて、直接顔と顔をあわせて、面接練習をするのは、私にとってもありがたい経験でした。



さて、内閣府の4年前の調査結果によると、初めて就職した企業を退職した理由として「仕事が自分にあわなかったから」と答えた人は、じつに約40%に上りました。

この結果をそのまま受けるならば、就活生の希望と仕事の実態がミスマッチを起こしているといえます。

もちろん就活生も企業の採用面接にそなえて、準備をして臨みます。

こう答えた方が面接官の印象がいいとか、うなずきを適度にいれて質問に答えるなど、いろいろなテクニックを身につけます。

4年前の調査結果ですから、まだ新型コロナウイルス感染症がはやる前に、就職した仕事が自分にあわなかったという現実があったのです。

そして、いまはコロナ渦によって、会社訪問を取りやめ、面接も対面でなくオンライン面接を実施する企業が増えました。

就活生は画面越しに面接官と向き合うようになりました。

就活生にとっては、自分の熱意を伝えにくくなり、画面を通して会社を紹介されても、学生にはわかりにくく、入社したあとの自分の姿を思い描きにくいのではないでしょうか。

また、オンライン面接には好印象を持ってもらうためのテクニックがあります。

照明を明るくすると、明るい印象を持ってもらえる。モニターに写っている面接官の顔を見るのではなく、その上にあるPCのカメラを見るなどのテクニックです。

こういう面接で、学生と面接官がお互いを理解して、深まりが出るかは疑問です。

テクニックに走る面接に意味があるのかさえ、感じるのです。

かりに内定をもらっても、その経過は最終面接まですべてオンラインで進み、直接訪問がないまま就活が終了する場合もあると聞きます。

入社後になり、「こんなはずでなかった」と言う思いで、後悔し、ますます退社する学生が出ないかが心配になります。



中学生の進路指導では、面接練習は対面ですし、生徒にはできる限り高校訪問をして学校説明会に参加するように進めます。

コロナ渦の中ですが、進路や就職は人生の「一大イベント」なので、できるだけ人と人が直接会い、自分の五感を使いどんな進路先・就職先であるかを、被面接者が知ることのできる機会を大切にしたいと思います。



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