箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

就職が氷河期だった人への就労保障を

2021年11月26日 09時06分00秒 | 教育・子育てあれこれ


コロナ災禍の中でも、新卒採用はあまり影響を受けず、堅調に進んでいます。

1回目の緊急事態宣言が出た2020年の春には新卒の内定取り消しや入社時期を遅らせる通知が出されたりしたので、今回も心配されていました。

しかし、2022年春の新卒採用の求人は、いわゆる「売り手市場」となり、1.5倍の求人倍率になっています。

たしかに飲食業や観光業の採用は少ないですが、その他の業界は例年並みを維持しているという状況です。

こうなると、いわゆる「就職氷河期世代」が気になります。およそ1993年~2004年ごろ新卒で就職した人たちの世代です。

いまでは30代後半から40代後半の年齢になります。

当時、バブル崩壊の不況のため、企業が新卒の採用数を厳しく抑えました。くわえて、国が派遣労働を非正規にした制度変更で、企業が大幅に非正規雇用を増やしたので、新卒は非正規雇用になった人が多かったのです。

したがって、生活が安定せず、いまでは働き盛りの時期なのに、結婚/出産を望んでもできないという弊害が起きています。

そこで、国は2019年末に、3年間で正社員を30万人増やすという予算付けをしましたが、正社員になった氷河期世代は約9万2000人どまりです。

また、正社員の中には雇用は非正規のままで、契約期間が無期に変わった人が含まれるため、どれだけの人が実質正社員になったかは不明のままです。

この世代の人たちは、わたしが当時受け持っていた中学生だった人です。

中学卒業時に、将来に夢を抱き卒業していった人たちです。

いわゆる教え子になるのですが、最近では音信不通になっている卒業生も多く、近況が気になります。

この人たちが、中学生の時、世間では「勝ち組」とか「負け組」という言葉が生まれ、格差が広がった時期でもありました。

本来、就労者があらたに資格を取ったり、転職の活動をするには時間もお金もかかります。
でも雇用が安定しないので、先を見てというよりは、いまの仕事を必死にするしかないのです。

いわゆる「自転車操業」で派遣を繰り返し、貯金がしにくい。この世代の人たちに住宅資金などの補助をして、生活を安定させること。そうしないと正社員になるのも難しいのです。

就職超氷河期だった人たちには、とくに手厚い就労保障・生活保障を望みます。


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