高知県メタンハイドレート開発研究会

土佐湾沖の海底にあるメタンハイドレートを掘り出す国家プロジェクトを、高知県に誘致する開発研究会を立ち上げました

鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたい・・・その5 新しいメタンハイドレートの掘削法

2011-05-19 | メタンハイドレートに関する記事

鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたい・・・

その5 新しいメタンハイドレートの掘削法   

                  鈴木 朝夫 (高知工科大学名誉教授・東京工業大学名誉教授)

  

5) 新しいメタンハイドレートの掘削法


{特許権の確定}  

 出願番号:特願2005-238783号、名称:「ガスハイドレート層からのガス回収システム」、出願人:(有)アトラス、公開日:平成19年3月1日、公開番号:特開2007-061508号、確定日:平成23年3月 日。

 

{加熱法(その場局所加熱)の掘削法}  

この特許のメタンハイドレート分解・回収装置の基本は「加熱法」である。掘削先端・その場局所燃焼加熱・超臨界水循環・減圧・押上圧送方式と呼べる。地上からは、空気(酸素)、可燃ガス(スタート時)、水、そして制御信号を送り込み、地上へは、回収メタンガス、燃焼排気ガスを取り出すことになる。掘削先端近くに置いたガスタービン発電装置で、その場で発生のメタンを地上からの酸素で燃焼し、それで電力を供給し、各種の熱エネルギー発生装置の電源とする。ヒーター熱による蒸気発生、高周波加熱による過蒸気生成、メタン押し上げのための超臨界水の発生、衝撃波発生によるMH層の破砕、マイクロ波発生などの各種の電源になる。(図3 その場局所加熱掘削装置の概要)


 
{ジェット・スクラバー}

超臨界水を経路を狭めて高速循環させることで、より強い減圧部分と高圧部分が発生する。ジェット・スクラバー(エゼクター型、ベンチュリー型)の原理である。メタンハイドレートを効率よく吸い上げて、分離した水も、堆積粒子汚泥も現場に残留させて、地上に持ち来さない方式であり、地上へも、海底にも環境汚染を引き起こさないことが大きな利点である。このことは必然的に、取り出すに必要なエネルギーを小さくして、エネルギー利得率を大きくできる。

 

{ガスタービン} 

ガスタービンの特徴は1)は小型で高出力、省スペース、2)は始動時間の短さ、3)は排気温度が高いなどである。1)の特徴は、ジェットエンジンと呼ばれ、航空機に活かされている。3)の特徴は、コンバインド・サイクルとして、排気熱による蒸気発生で蒸気タービンを廻し、熱の再利用が行われる。このような特徴を持つガスタービンを掘削時にその場で使うことは理に叶っている。熱エネルギーを有効に利用して、熱の及ぶ範囲を拡げることができるのも大きな利点である。


                                                                   
 {超臨界水}

超臨界とは液体と気体の差がなくなる状態である。水は374℃ 以上、220気圧以上で超臨界状態になる。気体の性能を備えた液体、液体のような気体と言っても良い。言い換えれば、密度の極めて高い気体、構成分子が乱雑に激しく運動する液体であり、運動量が大きくなり、反応性が高くなるのが特徴である。水分中のLiを含む可能性を増すかも知れない。また、他の有用なレアメタルを濃縮できる可能性もある。


                                             
{試掘権の設定} 

特許権認可を前提に、経済産業局長宛に試掘権を2011年2月に願い出た。鉱区は南海トラフ上の数カ所、対象鉱物は分類Ⅱの「石油、天然ガスなど」である。

 

 

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メタンハイドレート の取り組み 記事 目次

設立総会・記念講演の開催2011年7月18日(海の日)、 

 
 

 



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