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言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

公共事業の財源、増税か国債発行か

2011-05-21 | 日記
藤井聡 『公共事業が日本を救う』 ( p.206 )

 さて、こんな状況であるにもかかわらず、デフレから脱却するためにはやはり、「供給」に見合うような水準にまで「需要」を拡大しなければならない。つまり、供給に対する需要の不足分(いわゆる、デフレギャップ)を縮小し、ゼロにしていかなければならないのである。

(中略)

 要するに、現在の日本のデフレの問題は、こうした預金超過分を、誰かが借りて一気に使ってしまえば、一気に解消するのである。
 そうすれば、「需要」と「供給」のバランスがとれ、モノの値段の低下が食い止められ、企業収益の低下も、そして所得の低下も食い止められ、それを通じて、企業の倒産や失業者が減っていくこととなるのである。
 つまり、デフレから抜け出すためには、誰かが数十兆円の規模で借金をして、しかもそれを貯金せずに、どこかで「使って」しまえばいいのである。
 そんな大規模な仕事は、民間のどんな大金持ちでも、大企業でもできやしない。それができる程の力を持つ組織は、日本国内には、一つしかない。

 日本国政府である。

 つまり、日本国政府が、数十兆円の規模で、「だぶついている銀行預金を借り上げて」、その上で「できるだけ銀行の貯金に回らないようなかたちで使えばいい」のである。そうすれば、デフレの問題は一気に解消するのである。
「日本国政府が、銀行預金を借り上げる方法」とは何かと言えば、それは、銀行に対して国債を発行する、という方法である。そして、得られたオカネを、「できるだけ銀行の貯金に回らないようなかたち」で使えばいいのである。
 なお、しばしば、財政が厳しい中、消費税率アップなどの「増税」が必要である、という議論がなされている。例えば、財務大臣時代の菅直人氏は「消費税等の増税と財政出動によって需要を創出する」という見解を表明しているが、これは完全な誤りである。なぜなら、増税をしてしまえば、消費に回るオカネまでをも強制的に取り上げることになるからである。これでは「内需」は拡大せずに、ますます、需要が冷え込んでしまう。
 だから、既に消費ではなく貯蓄に回っているオカネを、国債の発行を通じて、直接「吸い上げる」方途こそが、需要拡大のために効率的な方法なのである。


 デフレから脱却するためには、需要を拡大しなければならない。そのためにも、公共事業が必要である。その際には、増税ではなく、国債の発行によって財源を確保しなければならない、と書かれています。



 国債を発行した場合、期限がくれば返済しなければなりません。国の収入は当然、「税金」ですから、国債の発行とは、将来の収入(税収)を先に使ってしまうことにほかならない、といえます。

 将来の収入(税収)を先に使ってよいのか、という議論もありうるとは思いますが、ここでは「かまわない」ことを当然の前提としたうえで、話を進めます。



 国債の発行が「将来の収入(税収)の先食い」である以上、「国債の発行は増税と大差ない」とも考えられます (「公債の中立命題」参照 ) 。

 しかし、著者は「増税」は誤りであり、「国債の発行」が必要であると述べています。その根拠として著者が指摘しているのが、
なぜなら、増税をしてしまえば、消費に回るオカネまでをも強制的に取り上げることになるからである。これでは「内需」は拡大せずに、ますます、需要が冷え込んでしまう。
 だから、既に消費ではなく貯蓄に回っているオカネを、国債の発行を通じて、直接「吸い上げる」方途こそが、需要拡大のために効率的な方法なのである。
です。

 今回はこれについて、考えてみます。



 「増税」がなされた場合、「その分だけ、貯蓄に回るお金が減る」のではないかとも思われます。このように考えれば、「増税」によって「需要が冷え込む」ことはない、ということになるのですが、

 現実には、過去、消費税率がアップした後には、需要が冷え込んでいます。

 とすれば、著者の指摘は「正しい」ということになります。

 しかし問題は、「なぜ、正しいのか」です。そこで考えてみるに、
  • もともと貯蓄する余裕のない世帯がある
  • 増税とは異なり、国債の発行には「負担増」の感覚がない
  • 公債の中立命題は必ずしも正しくない (「「公債の中立命題」 の成立条件」 参照 )
といったあたりが原因なのではないかと思います。

 もっともこれは、「結論」先にありきで「原因」を探しているために、「いかにもありそうな」原因を書いているにすぎません。本格的に経済学を勉強しろ、というコメントをいただいていますので、その際に、上記について書かれている部分も熟読したいと思います。



 なお、消費税の増税についてですが、

   5%が10%になっても、消費が半分になることはない。

   したがって、消費税増税は、
   確実に税収を増やし、確実に財政再建につながる。

といった議論もあるようです。これは説得力があります。

 この考えかたと、著者の「増税は誤り」説との相違は、「増税による景気悪化の効果をどの程度に見積もるか」にかかっているのではないかと思います。このあたりも、経済学書を読む際に、(もし書かれていれば) じっくり読んでみます。



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