言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

国家が財政破綻するための条件

2010-10-22 | 日記
三橋貴明 『高校生でもわかる日本経済のすごさ!』 ( p.34 )

 ところで、ここまで読み進めて頂いた読者の中には、以下の疑問を抱いた鋭い人がいるかも知れません。
「あれ? 政府の借金は返さなくていいなら、どうしてロシアやアルゼンチンの政府はデフォルト (債務不履行) になり、財政破綻したの?」
 そうなのです。
 永久に存続する前提である以上、借金を無限にロールオーバー (繰り延べ) することが可能であり、かつ「四番目のキャッシュフロー」という反則的な手段まで持ち合わせている中央政府でも、破綻することは可能なのです。それは「海外からの外貨建て借金を、返済することができなかった場合」になります。
 ロシア政府は1997年の夏、アルゼンチンは2001年末から翌年にかけ、それぞれ国内通貨であるロシアルーブルとアルゼンチンペソの大暴落に見舞われました。最終的に、双方の政府は共にデフォルト (債務不履行) をしたわけですが、ここで最も注目して欲しいポイントは、それぞれの政府が果たして「何の債務」について不履行になったかについてです。
 ロシア政府、アルゼンチン政府共に、別段、国内向けの自国通貨建て債務を返済できずに財政破綻したわけではないのです。両国政府が返済できなかったのは、外国からドル建で借りていた債務、すなわち対外公的債務になります。
 この「政府が外貨 (ドル等) 建てで、海外からお金を借りていた」という部分が、最も重要なポイントです。
 本書冒頭から、わたくしは日本政府の借金について、
「日本政府の借金の債権者は、実は日本国民」
「政府の借金について、税金で返済している国は世界に一つもない」
「政府は自国通貨建ての借金について、永久に繰り延べしても構わない」
「日本政府は世界で最も安い金利で国債を発行できる」
「四番目のキャッシュフローを持つ政府が、債務不履行になることは不可能」
 などと説明してきました。しかし、これらは全て政府の借金が「自国通貨建て」であることが前提になっているのです。日本政府は借金返済のために税金を上げる必要は全くなく、むしろ増税は日本経済の足を却って引っ張る可能性が濃厚です。
 日本経済の調子が悪くなると、政府はますます借金を増やし、景気対策に精を出さねばなりません。そういう意味で、税金で政府の借金を返済しようとすることは、明らかに本末転倒なのです。
 しつこいですが、政府の借金は完済する必要など全くありません。しかし、それも全ては日本政府の借金が、自国通貨建てだからこそ、言える話なのです。

(中略)

 現在日本政府が抱えている借金、すなわち国債発行残高が「ドル建て」であったと仮定してみて下さい。日本国債の発行残高846兆円は、現在の為替レートではおよそ8・4兆ドルに相当します。
 日本政府の「ドル建て」借金が8・4兆ドルの状況で、ある日突然、日本円が対ドルで大暴落したケースを想像してみましょう。現在のレートは1ドル100円末満ですが、これがわずか一日で200円を突破したと想定するのです。
 為替レートが変動しようが、ドル建ての借金の額面は変わりません。結果、日本政府のドル建て借金を日本円に換算すると、846兆円がいきなり1692兆円に倍増してしまうことになります。
 元本だけではなく、当然ながら利払いも倍増します。さらに、日本政府がドル建て借金を返済するべく、日本円を多量にドルに両替すると、円の対ドル暴落を加速する羽目に陥ります。円の下落が進むと、日本円換算の借金残高がさらに増えてしまうわけです。
 さすがにここまでラディカルではありませんでしたが、ロシアやアルゼンチンもこのままのプロセスを辿り、最終的に政府が財政破綻しました。
 景気低迷や経済危機を背景に、まずは通貨が下落を開始します。両国政府は通貨暴落を食い止めるべく、国内の金利を吊り上げていきました。特にロシアの国債金利は、最終的には何と年利150% (注:桁の間違いではありません) にまで達したのです。それでも、ロシアの通貨ルーブルの暴落を食い止めることは不可能でした。
 結果、対外公的債務、すなわち政府が外国からドル建てで借りていたお金の利払いが滞り、両国政府は財政破綻したのでした。外貨建てで外国から借りている借金は、為替相場の変動により、突然、破壊をもたらす「魔神」に姿を変えるケースがあるという現実を、ロシアとアルゼンチンの事例はまざまざと教えてくれました。

(中略)

 翻って我が国日本を見ますと、国債の全ては日本円建て、つまり自国通貨建てです。国債を販売した相手は、ほとんどが日本の金融機関、もしくは日本の個人投資家です。外国人の日本国債ホルダーは、わずかに6・4% (2009年3月末) でしかありません (こんな超低金利の日本国債を買うなど、奇特な外国の方がいるものです) 。その上、日本国債の金利は、すでに十年以上もの長期に渡り、世界最低水準を維持し続けています。
 すなわち、日本は「政府が財政破綻するための条件」を、一つたりとも満たすことができていないのです。マスメディアの皆さんにはお気の毒ですが、日本政府の財政破綻など、今後千年間くらいは起きないでしょう。


 歴史上、たしかに財政破綻した国家はある。しかし、それらの事例は、すべて「政府が外貨 (ドル等) 建てで、海外からお金を借りていた」場合である。日本の場合、政府の債務は自国通貨 (円) 建てなので、日本は財政破綻しない、と書かれています。



 引用文中にいう「四番目のキャッシュフロー」が何か、については、「日本は財政破綻しない」で引用した部分に書かれています (中央銀行による国債の引受です) 。



 著者の主張には、(大筋では) 説得力があります。



 私は昨日の記事「日本は財政破綻しない」において、日本の財政は

   すくなくとも、この先 5 ~ 10 年は「まったく問題ない」

と述べ、さらに中央銀行による国債引受を考慮するなら、もっと長期間、まったく問題ないと考えてよい、と述べました。

 ところが著者は「日本政府の財政破綻など、今後千年間くらいは起きない」と述べておられます。著者はかなり大胆です。自信満々、といってよいかもしれません。



 私が控え目な予測をしているのは、

   今後数年以内 (十年以内) に、日中戦争が始まる「かもしれない」

と考えているからです (始まる、ではなく、始まる「かもしれない」です) 。

 もちろん著者の論理に従えば、戦争が始まろうが何が起きようが、「日本が円建てで国債を発行し続けているかぎり、日本が財政破綻することはあり得ない」ということになり、控え目な予測をする理由は「まったくない」ということになります。

 しかし、ここで考えなければならないのは、「なぜ、ロシアやアルゼンチンは、外貨建てで海外からお金を借りていたのか」です。自国通貨建てでお金を借りれば千年くらいは財政破綻しないのであれば、自国通貨 (ロシアルーブルやアルゼンチンペソ) でお金を借りればよかったはずです。自国通貨建てで借りればよいものを、なぜ、わざわざ財政破綻を招きかねない外貨建てで (お金を) 借りたのでしょうか?

 答えは考えるまでもないと思います。自国通貨建てでは、お金が借りられなかったからです。自国通貨建てでお金を貸してくれる人がいなければ、外貨建てでお金を借りるしかありません。

 日本の場合、いまのところ、たしかに自国通貨建てでお金を借りられる状況にあります。というか、お金を貸したい人が大勢います。しかし、今後どうなるかはわかりません。とくに戦争が始まった場合には、膨大なお金 (戦費) が必要になりますが、万一日本が負けそうになれば、政府がお金を借りることは不可能に近くなるでしょう (すくなくとも、難しくなると思います) 。



 ところで、日本と同様、アメリカについても「破綻するかもしれない」といった予測がありますが、

 アメリカの場合も日本と同様、「自国通貨 (ドル) 建てでお金を借りている」にすぎないのですから、「破綻することは (よほどのことがないかぎり) あり得ない」と考えて、まず間違いないと思います。アメリカが戦争に負けることなど、まず考えられません (局地的な戦いならともかく、降伏せざるを得ない状況にはならない、という意味です) 。したがって、

   アメリカも財政破綻しない

と考えて、よいのではないかと思います。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 日本は財政破綻しない | トップ | 日本は「何に」財政支出すべきか »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。